会計監査人の異動!5月は109社!大手監査法人から準大手・中小への流れ加速!

監査②

はじめに

会計監査人の異動の流れが加速しています。以前のブログでも触れていますが、大手監査法人・準大手監査法人の公認会計士の人手不足により、監査報酬の値上げのラッシュが続いています。

上場会社が一番多い3月決算期で、6月の株主総会で会計監査人を変更する会社は5月一月で109社がIRを公表しました。

監査報酬の値上げに耐えられない上場会社が、大手監査法人からより監査報酬の安い準大手監査法人へ、更には中小監査法人へ会計監査人を変更する傾向が鮮明になっているようです。

会計監査人異動109社の内訳

①大手監査法人から中小監査法人へ変更した会社 48社

②大手監査法人から準大手監査法人へ変更した会社 24社

③中小監査法人から中小監査法人へ変更した会社 20社

上記、3区分だけで全体の84%を占めています。

準大手監査法人から中小監査法人への変更は7社ありますので、より監査報酬の安い小さな監査法人への異動及び中小同士の異動が、全体の90%を超えています。

中小でも比較的規模の大きい監査法人は人手不足が目立つように!

株式会社アテクト(東証スタンダード)は、5月25日、ひびき監査法人の退任とひかり監査法人の就任を公表しました。

異動理由:当社の会計監査人であるひびき監査法人より、監査法人内の人事異動及び担当者の退職により翌年度の監査チームの人員確保が困難となったため、翌年度の監査契約を継続できない旨の申し出があり、受理しました。

現状は、中小監査法人内でも比較的規模の大きい監査法人から規模の小さな監査法人へ移動する事例が増加する傾向にあるようです。

退任監査法人と就任監査法人の傾向

5月の会計監査人の異動を詳細に見ると、退任監査法人の数が一番多い

EY新日本有限責任監査法人 26社

逆に、就任監査法人として新規にクライアントを積極的に受け入れている監査法人は

太陽有限責任監査法人 16社

という状況です。

今後は、太陽有限責任監査法人から更に中小の各監査法人へ移動する流れが想像できます。

それでは、最も受け皿となっている中小監査法人についてIRに基づいて監査法人名を挙げてみますが、それぞれ中小なので太陽有限責任監査法人ほど多くのクライアントを受け入れることはできず、ばらけてそれぞれが受け入れている様子が浮かび上がります。

中小の中でも受け皿となっている監査法人

以下、多くても5月の就任は2,3社となっていますが、以下の監査法人が大手や準大手、更には中小の中でも更に受け皿となっている就任監査法人です。

上場会社で中小監査法人へ変更しようと考えている会社はご参考にしてください。

・海南監査法人

・史彩監査法人

・シンシア監査法人

・監査法人アヴァンティア

・ゼロス有限責任監査法人

・監査法人まほろば

・OAG監査法人

・やまと監査法人

・監査法人日本橋事務所

・永和監査法人

・ひかり監査法人

・かがやき監査法人

・アーク有限責任監査法人

・監査法人やまぶき

・監査法人銀河

など

小規模な中小監査法人への異動理由の具体例

①株式会社レントラックス(東証グロース)

IR公表日:2022/5/30

退任監査法人:太陽有限責任監査法人

就任監査法人:ゼロス有限責任監査法人

異動理由:監査役会がゼロス有限責任監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、当社の事業規模に見合った監査費用と監査対応の相当性等について、他の監査法人と比較検討した結果、当社の会計監査人として適任と判断したためであります。

②株式会社北弘電社/札証(1734)

IR公表日 :2022/05/11

退任監査人: EY新日本有限責任監査法人

就任監査人: 監査法人銀河

異動理由:監査役会が監査法人銀河を会計監査人の候補者とした理由は、同監査法人の監査実績や監査報酬が当社の事業規模に適していること、

③エコナックホールディングス株式会社/東証プライム(3521)

R公表日 :2022/05/19

退任監査人: フロンティア監査法人

就任監査人: 監査法人やまぶき

異動理由:フロンティア監査法人から、当社の度重なる監査報酬の減額により、監査工数および他の受嘱先との監査報酬のバランスも取れなくなるため、今会計年度の監査を継続しない旨の通知がありました。よって、本監査業務の終了をもって、当社との監査業務を終了するとともに、会計監査人を退任することとなりました。

監査役会が監査法人やまぶきを会計監査人の候補者とした理由は、新たな視点での監査が期待できることに加え、~略~当社の事業規模に適した効率的かつ効果的な監査業務の運営が期待できることから、当社の会計監査人として適任と判断したためであります。

おわりに

公認会計士の人手不足による監査報酬の値上げにより、

大手監査法人から準大手監査法人へ

準大手監査法人から中小監査法人へ

中小監査法人の中でも規模の大きい監査事務所から規模の小さい監査事務所へ

という流れが止まりそうもありません。

5月の会計監査人の異動の中には、個人の公認会計士事務所の連名による会計監査人就任もありました(上場会社は個人の公認会計士事務所による単独監査はできない)。

当事務所も5年前までは、個人の公認会計士事務所の連名により東証プライム市場上場会社の監査を行っていましたが、当時は、東芝の不適切会計問題等により、個人の公認会計士事務所から監査法人へ移動する流れが加速していましたが、逆の流れが起きつつあるようです。

以上が、上場会社を取り巻く会計監査人の異動の状況です。

非上場会社等の法定監査、すなわち会社法単独監査や医療法人等の監査などでは、もちろん個人の公認会計士事務所による単独監査が可能です。

これらの法定監査では、益々個人の公認会計士事務所による単独監査の需要が多くなるのではないでしょうか。

 監査法人から個人の公認会計士事務所への異動を考えている法定監査の会社等の責任者は早めに決断しないと、個人の公認会計士事務所も監査をお断りする状況がすぐそこまできています。お早めに決断することをお薦めします。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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