公認会計士等の監査報酬は毎年増加傾向に!(過去3年の推移)
監査実施状況調査(JICPA)
日本公認会計士協会(JICPA)は、毎年11月ごろ監査実施状況調査として、会員である公認会計士等が実施する監査に係る監査報酬等の情報を公開しています。
前年の4月から当年の3月までの監査に係る監査報酬等の監査の情報であり、これは、会員が監査実施後JICPAへ提出する「監査実施報告書」等に基づいて作成され、公表されています。
この監査実施状況調査に基づいて、過去ブログにて会社法監査・学校法人監査・医療法人監査などの監査報酬の平均額を記載していますが、今回は、過去3年間の会社法監査の売上高区分ごとの監査報酬平均額の推移を見て、監査報酬が増加傾向にあることを確認します。
2022年3月までの監査報酬は、収益認識会計基準の原則適用により、更に増加していることは間違いないでしょう。
会社法監査売上高区分別平均監査報酬の推移
売上高区分 | ~2019年3月 | ~2020年3月 | ~2021年3月 |
10億円未満 | 3,574千円 | 4,141千円 | 4,324千円 |
10億円以上
50億円未満 |
6,193千円 | 6,571千円 | 6,478千円 |
50億円以上
100億円未満 |
7,776千円 | 8,183千円 | 9,461千円 |
100億円以上
500億円未満 |
11,962千円 | 12,263千円 | 12,854千円 |
500億円以上
1000億円未満 |
16,273千円 | 16,750千円 | 17,012千円 |
以上省略 | ― | ― | ― |
総平均 | 12,442千円 | 12,937千円 | 13,487千円 |
※上記は、非上場会社の会社法単独監査の報酬であり、上場会社の会社法監査の報酬は含まれておりません。
したがって、医療法人や社会福祉法人その他の上場会社(金融商品取引法)を除く組織の監査についても同様の傾向にあります。
監査報酬推移の分析
・上記の表の赤文字を除きすべての区分で監査報酬は上昇しています。
・総平均で見ると、2019年と比較し2020年3月までの監査報酬は約4%UP
・同じく2020年と比較し2021年3月までの監査報酬は4.3%UP
過去8年で、監査の業務量は20~30%増加しているとの日経新聞の記事がありましたが、毎年4%前後の監査報酬の増加は、8年前の監査報酬と比較し30%ほど増加していると考えられ、業務量の増加とほぼ比例していると考えられます。
監査業務量の増加(報酬の増加)の原因分析
・東芝の会計不正など不正会計の増加により、JICPAや金融庁の監査法人への検査などが厳格化し、監査法人等へ求める監査の作業が増加している。
・会計上の見積りの開示に関する会計基準、収益認識に関する会計基準など新基準の導入により、被監査会社の実務作業の増加および監査作業の増加
・公認会計士の人手不足による人件費の増加および働き方改革による監査作業の透明化による報告監査時間の増加
など
横田公認会計士事務所の取り組み
当事務所は、過去上場会社の監査責任者をしていましたが、現状は、上場会社の監査を行わない方針としております。
理由は、上場会社監査事務所であれば、JICPAや金融庁の検査を受けなければならないことから、規制当局に見せるための監査調書の作成作業や指摘された事項に対する監査を形式的に実施する監査時間が増加するためです。
クライアントの実情に照らした柔軟な監査を行う時間がなくなることがもっとも大きな理由です。
現状は、クライアントの実情に適した監査を実施し、監査意見を形成するために必要最低限の監査を実施し、且つクライアントに適した会計全般のサービス(指導を含む)を提供することが可能となっています。
監査報酬については、監査法人等と比較し、2~3割安く提供することが可能となっていますが、逆に、監査を含むトータルのサービス面では、形式的な監査を必要最低限とすることにより、監査法人より数段クライアントにとって価値のある監査を含む会計全般サービスを提供することが可能となっています。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
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オミクロン株のピークがいつになるのか毎日気になる現状ですが、3月までには経済活動は正常化していると考えています。各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。
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