会計監査人の監査報告書の文例が各種法定監査で改正されました

監査現場②

はじめに

2020 年 11 月の監査基準の改訂及び2021 年1月の監基報 720 の改正、並び に2021 年5月の公認会計士法の改正に伴い、各非営利法人の監査報告書の最新の文例が見直されました。

【関連する実務指針等の改正】

監査報告書の文例を掲載した実務指針について、日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、企業会計審議会「監査基準の改訂に関する意見書」(2020年11月6日)及び「監査基準委員会報告書720「監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任」の改正について」(2021年1月14日)等の公表、並びに「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」 (2021年5月12日)における公認会計士法等の改正を受け、2021年8月19日に公益法人、医療法人、社会福祉法人、農協等の監査報告書の文例の実務指針の改正を実施しています。

改正は、2022年3月31日以後終了する会計年度に係る監査から適用されます。ただし、2021年3月31日以後終了する会計年度に係る監査から適用することができる。なお公認会計士法の改正を踏まえた改正につ いては、2021年9月1日以降に提出する監査報告書から適用されます。

【改正の概要】

1.主な改正点は、

「その他の記載内容」区分の追加、

監査報告書の記載順序の追加、

押印の廃止及び電子署名への対応について

以上です。

2.上記1.①について、各実務指針において「その他の記載内容」について、「監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容をいう。その他の記載内容は、通常、財務諸表及びその監査報告書を除く、企業の年次報告書に含まれる財務情報及び非財務情報である。(監基報 720 第 11 項(1))」と定義しています。

3.また「年次報告書」について、「法令等または慣行により経営者が通常年次で作成する単一又は複数の文書であり、企業の事業並びに財務諸表に記載されている経営成績及び財政状態に関する情報を所有者(又 は類似の利害関係者)に提供することを目的としているものをいう。 年次報告書には、財務諸表及びその監査報告書が含まれているか、又 は添付されており、通常、企業の動向、将来の見通し、リスク及び不確実性に関する情報並びに企業のガバナンスに関する情報が含まれる。(監基報 720 第 11 項(3))」と定義しています。

4.なお、法人の類型により設立の根拠となる法令が異なり、必要となる作成書類等も異なるため、年次報告書も法人の類型により異なっており、その他の記載内容の対象となる年次報告書の範囲も異なっています。

5.上記1.②について、「継続組織の前提に関する重要な不確実性」区分、追記情報(強調事項又はその他の事項)及び「その他の記載内容」区分の記載順序については、利用者にとって関心の高い情報、つまり相対的重要性に関する監査人の判断によって決定することになります。

6.上記1.③について、公認会計士法の改正において、監査報告書への押印が廃止され、監査報告書等の交付を電磁的方法により行うことが可能となったことに対応し、監査報告書の文例から「印」を削除し、 監査責任者が電子署名を行う場合における氏名の表示に関する注が追加されています。

おわりに

今回の監査報告書の文例の改正について重要なものは、①「その他の記載内容」区分の追加、③押印の廃止及び電子署名への対応についてであり、当該詳細については以下のブログを参照ください。

以上

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