改正電子取引制度(来年1月適用):書面出力禁止は誤り、電子保存は必須

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はじめに

昨日の新型コロナウイルス感染症の陽性者数は東京で9名、大阪で7名と昨年の6月以前振りの少ない感染者数となりました。

このまま、第6派が来ず、治療薬としての飲み薬が承認され、コロナ前の生活に戻れることを祈るばかりです。

【経過措置として紙運用・電子保存という方法も可能】

来年1月から適用がスタートする改正電子取引制度(電帳法7)では、代替措置である書面出力保存が廃止されます。

この点、一部に誤解があるようですが、改正で義務付けられているのは電子取引を行った場合の電子データの保存であり、電子保存さえ出来ていれば、それを書面に出力して経理業務などを行うことは禁止されていません。

来年1月までに完全電子化対応が間に合わないと言った場合には、過渡的な対応として、経理業務などの運用は従来通り紙ベースで行いつつ、保存のみ電子データで行うことを検討してみてはいかがでしょうか。

【3月決算等の会社でも来年1月以後の電子取引から書面出力保存不可】

書面出力が廃止されることとなった背景には、受領した電子データと出力した書面との同一性が十分に確保されないという懸念があるからです。

現行の電子取引制度では、電子取引の取引情報を電子データで保存する場合、タイムスタンプの付与など、一定の改ざん防止措置を行うことが義務付けられており、同一性の確保が担保されています。

一方、書面出力保存の場合、極端なことを言えば、受領した請求書等データの金額にゼロを一つ追加して紙に出力しても、これを確認するのが難しい状況となっていました。

このような背景を踏まえて、改正法が施行される来年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については、請求書等データを書面で出力して保存することが認められなくなります。

例えば、3月決算会社など事業年度の中途に改正法の施行日がある令和4年1月1日を迎える場合であっても、同日以後に行う電子取引については書面出力保存が認められなくなるので留意ください。

【紙ベースで従来通りの業務運用も可能】

今回の改正は、電子取引で授受した電子取引の取引情報について、原則通り、電子データでの保存を義務付けるものであり、受領した電子データを紙に出力すること自体が禁止されたわけではありません。

そのため、来年1月から完全に電子化する必要性はなく、社内の経理処理のための業務や税理士・公認会計士とのやり取りを従来通り紙ベースで行うことももちろん認められます。

ただし、保存については電子データで行う必要がありますが、改正電子取引制度対応でネックとなる検索要件の確保については、エクセル等の表計算ソフトを使って要件を満たすなどが可能となっています。

おわりに

改ざん防止措置については、必ずタイムスタンプの付与等が必要となるわけではなく、コスト面から比較的導入が容易と考えられる「訂正削除の防止に関する事務処理規程」の備付けも認められています。

時間的な制約や予算などの関係上、来年1月までに対応が難しいケースもあると考えられますが、システムや全社的な運用の準備が整うまでは、経理業務などの運用は従来通り紙ベースで行い、保存のみ簡便的な方法を使って電子データで行うという対応で構わないと考えます。

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