労働組合 公認会計士等による会計監査を受けていない組合は法律違反!?

はじめに

2021年10月1日、緊急事態宣言が解除され、飲食店等のお酒の提供の禁止が解除されました。まだ実証実験の段階であり、お酒を提供する飲食店等は午後9時までの営業で午後8時(8時半)までお酒を提供するようです。

やっと、コロナ前の日常生活が戻ってくるのか、今後の感染状況にもよりますが、一歩前進したことは間違いないようです。

緊急事態宣言下では、労働組合の活動も対面の活動は自粛され、リモート会議などにより、出張費や懇親会・親善会などの活動も激減し、予算がかなり余った労働組合がほとんどの状況のようです。

今後、ウィズコロナ、アフターコロナとなれば、労働組合の活動もコロナ前の状況で再開されることでしょう。

そもそも公認会計士等の監査は必要か

労働組合は、会計報告について会計監査人、すなわち、公認会計士又は監査法人による監査を受けることが義務付けられています。

根拠となる労働組合法第5条第2項第7号においては、以下のように定められています。

(労働組合法第5条第2項第7号)

すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに、少なくとも毎年 1 回組合員に公表されること。

なお、特定独立行政法人等及び地方公営企業の職員で構成する労働組合に対しては、労働組合法の外部監査の規定が適用されます(労働組合監査における監査上の取扱い)。

さらに、国家公務員及び地方公務員の職業団体については、労働組合法が適用除外とされていますが、その職員団体が法人格を取得する場合は、公認会計士等、または信託会社の監査証明を受けることが必要とされています(同監査上の取扱い)。

外部の監査を受けない場合の罰則はあるの?

上記のように、労働組合法では、公認会計士による監査を受けることが義務付けられています。

では、監査を受けないと罰則はあるのでしょうか?
公認会計士による監査を受けなくとも、罰則規定は設けられていないものの、労働組合法上の手続きに参与し、救済を求める資格がないものとされています。(労働組合法5条1項)
​具体的には、下記の手続きが出来なくなります。

・労働協約の地域的拡張適用の申立(法18条)

・労働者委員の推薦(法19条の3第2項)

・不当行為に対する救済申立(法5条1項)

・法人格を取得するための資格証明取得(法11条)

これらの手続きが必要にもかかわらず、公認会計士による監査を受けていない場合には、その手続きができずに最悪の場合は労働組合の存在意義が無くなってしまう可能性があります。

罰則規定がないなら監査を受けなくても良いの?

上記の通り、公認会計士等により監査(以下外部監査)を受けなくても、罰則規定はなく、労働組合法上の手続きに参与し、救済を求める資格がないものとして4つの手続きができなくなります。

それでは、4つの手続き、例えば「法人格を取得するための資格証明取得」で言えば、法人格を取得するつもりがないので手続きができなくても何ら影響がない労働組合は多数存在するでしょう。

その他の手続きもすべて影響がない労働組合の場合、

「罰則がないなら、監査報酬を支払って、外部監査を受ける必要性を感じない」

「監査報酬という新たな支出が発生するだけでなんら外部監査を受けるメリットを感じない」

などの理由で、外部監査を受けていない労働組合が多数存在するのが実情です。

本当に、必要性や監査報酬を支払いたくないという理由で監査を受けなくても問題ないのでしょうか。

答えは「ノー」です。外部監査は受けなければなりません!

その理由として

①労働組合法に外部監査を受ける規定があるため、受けなければ法令違反を犯した状態となっています。

②執行委員等の執行部は、ほとんどの場合様々な「手当」と称して、組合財産の中から手当が支給されています。この手当が外部監査を受けなければ「お手盛り」になる可能性があります。

③執行委員等は、コロナ禍を除き、親睦等の名目で様々な出張やセミナー後等の飲み会などの代金を、少なからず予算計上し、経費として計上していますが、外部の監査がなければ、私的な飲み代等も含めて、組合財産の流用をしている可能性が少なからずあるからです。

②や③の執行部等の組合財産の流用は、内部の会計監査では発覚することが難しくなります。内部の会計監査担当役員も「手当」や「飲み会」に参加していれば、指摘されることはありません。

外部監査を受けなければ、①は組合執行部のコンプライアンス違反、②③は組合財産の私的流用の可能性が高まる。という労働組合にとっての弊害が発生することになります。

 一般的には、外部監査を受けなければ、外部監査で支払う監査報酬を上回る弊害(コンプライアンス違反=組織の信用力の低下などなど、組合財産の流用)が発生する可能性が大きいと言えるでしょう。

組合員等の組合費を払っている方は、大会議案書の収支計算書や貸借対照表等の計算書類に公認会計士等の監査報告書が添付されているか確認し、添付されていないならば、上記①~③について、貴方の加入している労働組合の執行委員等執行部の見解を聞いてみる必要があります。

外部の監査報告書の添付がなく、執行部等の見解も聞かないならば、組合員等の貴方も、コンプライアンス違反等を容認していることとなってしまいます。

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監査報酬はどれくらい必要か

監査報酬は、監査に要する日数を見積り、その積み上げを基礎として計算します。したがって、労働組合の規模(組合員数、収入・支出や資産の規模、支部の数等)によって監査報酬は異なってきます。

当事務所では、最小規模の労働組合(概ね組合員100人未満)であれば、監査報酬は150,000円(税別)~

その他概ね、1,000人以下の労働組合の場合200,000円~400,000円(税別)で、個別の組合の状況に応じた監査日数により変動します。

 更に、組合員数1,000人以上の労働組合の場合は400,000円(税別)~で、上記と同様、監査日数により変動します。

ただし、初年度の監査については、組合の予算についても考慮して柔軟に対応しますが、2年目以降は通常の見積り日数にて監査報酬が発生します。

監査報酬のお見積りは無料で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

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