施設型給付費を受ける幼稚園のみを設置する学校法人等の監査
はじめに
大阪では、新型コロナウイルス感染症の陽性者のうち重傷者の病床使用率がひっ迫してきており医療体制の崩壊に繋がりかねない状況となってきました。「大阪基準」が適用され、不要不急の外出の自粛の要請がなされています。当事務所でもしばらくリモートで業務を行い不要不急の外出は自粛します。
それでは本題に入ります。
幼稚園の監査の種類
1.私立学校振興助成法監査は、私立学校振興助成法第9条に規定する補助金の交付を受ける学校法人が作成する計算書類に対して求められるものです(私立学校振興助成法第14条第3項)。
2.上記1.の私立学校振興助成法第9条に規定する補助金とは、都道府県が、その区域内にある幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校又は幼保連携型認定こども園を設置する学校法人に対し、当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合に、国が都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助する場合の補助金とされています。
3.経常的経費に対する国の補助は二つの種類に分類され、それぞれと「子ども・子育て支援新制度」の施設型給付費を受ける幼稚園法人等との関係は、次のとおりです。
・一般補助…補助の目的:各都道府県による私立高等学校等の基盤的経費への助成を支援:2015年度から支給の対象外
・特別補助…補助の目的:各私立高等学校等の特色ある取組を支援:支給の対象となり得る
4.上記3.のうち、経常的経費としての「特別補助」を受けている場合には、従来どおり私立学校振興助成法監査の対象となります。ただし、その場合でも、補助金の額が寡少であって、所轄庁の許可を受けた場合には、監査は免除されます(私立学校振興助成法第14条第3項)。
5.上記の経常的経費の補助の対象範囲や監査免除に関する取扱いは、所轄庁によって異なる可能性もあることに留意が必要です。
6.なお、私立学校振興助成法監査の対象外となったとしても、任意監査として私立学校振興助成法第14条第3項の規定に準じた監査を行う場合が想定されます、この場合には、研究報告第32号を参考にして監査報告書を作成することとなります(研究報告第32号第1項、第3項)。
おわりに
施設型給付費のみを受ける幼稚園については、私学助成の特別補助がなければ私立学校振興助成法に基づく公認会計士監査を受けなくてもよくなりました。
一方、「子供・子育て支援制度」の施設型給付に移行した幼稚園について、公認会計士による外部監査を受けた場合には、「外部監査費加算」が交付されます。「外部監査費加算」を利用して、公認会計士の外部監査を受けると以下のようなメリットを享受できます。
公認会計士による外部監査を受けることにより、計算書類や帳簿の信頼性は格段に上がります。また、監査の過程で、理事者は、会計・税務の面からの経営アドバイスを受けることが可能となります。
公認会計士による外部監査を受けた場合には、一定の場合を除き、市町村による通常の会計監査の対象外となります。したがって、市町村からの監査を改めて受ける必要がなくなります。
上記により、施設型給付費のみを受ける幼稚園の場合も公認会計士による外部監査を受けるメリットは十分あります。
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