医療法人の会計監査:準拠性の枠組みについて

はじめに

本日もこの話題でニュースサイトがもちきりです。新型コロナウイルス感染症の第3派について、連日、全国の感染者数が過去最高の人数を更新しています。Go To トラベル、Go TO イートは今のところ継続の方向です。Go To を継続しながらマスクを着けたままの静かな会食をと菅総理他、専門家らが推奨していますが、マスクを着けたままの会食のやり方には不謹慎かもしれませんが笑ってしまいます。本当に現実にそんなことをする国民がいるのでしょうか。

それでは、本題に入ります。通常の会社法等、公認会計士の会計監査では監査意見については計算書類等が適正(適法)に表示されているかどうかについて意見を述べます。これを適正表示の枠組みといいます。これに対して医療法人の計算書類に対する公認会計士等の監査については、準拠性の枠組みが適用されます。

この理由について考えて説明したいと思います。

医療法人の会計基準が準拠性の枠組みとして取り扱われる理由

1.医療法人会計基準及びその運用指針においては、公益法人、社会福祉法人等において適用されている会計の基準とは異なり、以下のような簡便的な会計処理の採用が容認されています(実務指針第39号第13項

リース取引開始日が、前々会計年度末日の負債総額が200億円未満である会計年度である、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、賃貸借処理を行うことができること(医療法人運用 指針9)。

前々会計年度末の負債総額が200億円未満の医療法人においては、法人(昭和40年法律第34号)における貸倒引当金の繰入限度相当額が取立不能見込額を明らかに下回っている場合を除き、その繰入限度額相当額を貸倒引当金に計上することができること(医療法人運用指針12)。

退職給付引当金の計上は、「退職給付に関する会計基準」に基づいて行うものであるが、前々会計年度末日の負債総額が200億円未満の医療法人については、簡便法を適用することができること (医療法人運用指針12、医療法人Q&A Q11)。

2.上記1.の簡便的な会計処理が採用された場合、本来の原則的な方法を採用した場合と比較して、場合によっては計算書類に重要な影響を与え、原則的な方法を採用した場合との差異の金額が計算書類の利用者に誤解を与える程度に生じる可能性も考えられます(実務指針第39 号第14項

3.このため、医療法人会計基準は、適正表示の枠組みとして取り扱うことは適切でなく、準拠性の枠組みとして取り扱うことが妥当と考えられています(実務指針第39号第15項

おわりに

上記のように、医療法人会計基準が企業会計の会計基準のように原則的な会計基準ではなく、簡便的な会計基準を容認していることから監査意見も適正(適法)意見ではなく、慰労法人会計基準に準拠して作成されているという準拠性意見となるのです。ご理解いただけましたでしょうか。

私も2020年3月期決算監査において、医療法人の監査を行いましたが、監査の実施時期が5月ということもあり、現場には監査に行けず、完全リモートにて実施しました。慣れない、突然のリモート監査であった事からかなりの混乱がありましたがなんとか終了しました。

やはり、監査においてある程度の日数は現場の空気感を感じながら質問等の手続きを実施し、その回答を得る作業は必須であると考えています。今の新型コロナウイルス感染症第3派がいつおさまるのかはわかりませんが、来年の5月には全国民がワクチンを接種して、監査現場に行って監査をできることを祈っています。

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

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