学校法人の会計処理:クレジットカード払いによる寄付金の計上時期など
Q1.クレカによる寄付金の計上時期
学校法人甲は、R5年3月に寄付金を受領することとなった。クレジットカード払いによる寄付金であるため、実際に学校法人甲に入金されるのは R5年4月である。この場合に、寄付金はいつ計上することとなるのか。
(考え方)
1.寄付金収入の帰属年度は、寄付金品の受領日の属する年度とし、寄付の申込みがあった場合でも寄付金品を受領するまでは未収入による 計上は妥当な処理として認められないとされています(学校法人実務指 針第39号第6項)
2.クレジットカード払いについて、特段の取扱いが設けられていないことから、本件のクレジットカード払いによる寄付金は、実際に学校法人甲に入金されるR5年4月に寄付金収入として計上することになるものと考えられます。
Q2. 雇用調整助成金の計上科目
新型コロナウイルス感染症の影響により、学校法人Aは、教職員を一時休業させることとした。これに伴い雇用調整助成金を申請し受領したが、この雇用調整助成金は補助金収入として処理するのか。なお、教職員には、非常勤の者が含まれている。
(考え方)
1.学校法人が様々な名目で受領した金銭その他の資産の処理を補助金収入として処理するか否かは、原資が国又は地方公共団体か否かで判断することとされています。
2.本件の雇用調整助成金のうち、雇用保険未加入者に関する助成については、国庫補助金を原資とすることから、補助金収入として処理するものと考えられます。
3.一方で、雇用調整助成金のうち、雇用保険加入者に関する助成については、雇用保険を原資とするため、補助金収入には該当せず、また、 寄付金は寄贈者の任意的行為として、募集に応じて行われたり、寄贈者の意思によって一方的に行われたりするものである(学校法人実務 指針第39号第7項)ことを鑑みると、寄付金収入として処理することもなじまないものと思われます。このため、当該助成金については、雑収入で処理することが考えられます。
Q3.給食費徴収時の会計処理
幼稚園を運営している学校法人Bは、食育の観点から、全員を対象として給食事業を行っており、給食費は授業料に含めて徴収している。この給食事業に係る経費は、教育研究経費として処理してよいでしょうか。
(考え方)
1.幼稚園における給食の提供については、文部科学省発出の「幼稚園 における食育の推進について(通知)」(平成19年1月17日18初幼教第 9号)において、給食は単なる食事の提供ではなく幼稚園における教育活動と一体のものであり、その経費は食育の観点から教育の実施に 必要な経費である旨、言及されています(日本私立学校振興・共済事業 団私学経営情報センター編「学校法人の経営に関する実務問答集<改正会計基準対応版>」No.101)。
2.幼稚園の給食費に係る会計処理については、第一に所管する都道府県からの指示に従うこととされています。ただし、所管する都道府県から特段の指示がない場合、上記1.の事情に鑑み、本件のように、一律全員に課すことを前提に授業料に含めて徴収しているケースであれば、給食の提供に係る経費は「教育研究経費(支出)」として取り扱うことも許容されると考えられます(日本私立学校振興・共済事業団私学 経営情報センター編「学校法人の経営に関する実務問答集<改正会計 基準対応版>」No.101)。
Q4.収益事業開始時の会計処理
学校法人Cが教育目的で保有していた土地 100 について、遊休状態となったため、私立学校法上の収益事業として賃貸することとし、その寄附行為の変更の認可を受けました。貸借対照表に計上していた土地は、別会計として学校法人会計の貸借対照表から振り替える必要があるでしょうか。
(考え方)
1.学校法人は、教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができますが、この収益事業に関する会計は、学校法人の設置する私立学校の経営に関する会計から区分しなければならないとされています(私立学校法第26条第1 項、第3項)
2.したがって、貸借対照表に計上していた当該土地は、別会計として学校法人の貸借対照表から振り替えることとなるものと考えられます。
<会計処理>
(学校会計)
(借) 収益事業元入金 100 | (貸) 土地 100 |
(収益事業会計)
(借) 土地 100 | (貸) 元入金 100 |
以上
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