給与・賃金のデジタルマネー払い(キャッシュレス受取)に向けた取り組み

はじめに

厚生労働省は、9月22日に「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案」の意見募集を開始しました。

労働者に対する給与・賃金は現金払いが原則ですが、現行制度では、その例外として、労働者の同意を得た場合に

   銀行口座への振込

   証券総合口座への払込

による給与・賃金の支払いが認められています。

改正案では、上記の例外に、資金移動業者(PayPayなど)の口座への振込を加えることで、いわゆるデジタルマネー払いを可能とするものです。

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化への対応

労働基準法では、賃金は現金払いが原則となっています。現状は銀行振り込みを行っている企業等がほとんどで現金での支給はアルバイトなどごく一部に限られているとは思いますが、労基では現金払いが原則です。

その例外として、労働者の同意を得た場合、

   銀行口座への振込

   証券総合口座への払込

上記による給与・賃金の支払いが認められているという現実とは原則と例外が逆転している状況なのです。

今回の改正案では、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進んでいることを背景に、現行の例外上記①、②に加えて、労働者の資金移動業者の口座(キャッシュレス決済で用いるアプリ等の口座)への給与・賃金支払いを可能とするものです。

キャッシュレス決済で用いるアプリ等の口座へ支払うための要件

対象となる資金移動業者については、資金決済法による規制のほか、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けなければなりません。

具体的要件は以下の通りです。

・給与・賃金支払いに係る口座の残高の上限額を100万円以下に設定していること

・破綻したときに、口座残高の全額を速やかに弁済できることを保証する仕組みを持つこと

・ATMの利用等により、1円単位で賃金等の受取ができ、最低毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく賃金等の受取ができる措置を講じること

・賃金等支払業務の実施状況と財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を持つこと

おわりに

企業が資金移動業者の口座への給与・賃金の支払いを行う場合には、当然ですが労働者の同意を得なければなりません。労働者が銀行口座や証券総合口座への給与・賃金の支払いも併せて選択できるようにする必要も当然あります。

今回の改正案の意見募集は10月21日までであり、改正省令は11月に公布し、2023年4月1日には給与・賃金のデジタルマネー払いが可能となる可能性があります。皆さんはデジタルマネーによる給与・賃金の受取を選択しますか?どちらにしても、給与等の受取の選択肢が増えることは労働者にとっては良いことではないでしょうか。

以上

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