2020年4月より開始の高等教育(大学等)の就学支援新制度について

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1.      本制度は、我が国における急速な少子化の進行及び大学等における 修学の重要性に鑑み、総合的な少子化対策を推進する一環として、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学に係る経済的負担の軽 減を図るため、次の支援措置が講じられたものです。

2.      支援対象となる学校種等は、次のとおりであります。

支援対象となる学校種 大学・短期大学・高等専門学校・専門学校
支援内容

授業料等減免制度の創設

給付型奨学金の支給の拡充

支援対象となる学生 住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生 (2020年度の在学生(既入学者も含む。)から対 象)
財源

少子化に対処するための施策として、消費税率引上げによる財源を活用

国負担分は社会保障関係費として内閣府に予算計 上、文科省で執行

3.      上記2.①の授業料等減免に関しては、各大学等が、次の上限額まで 授業料等の減免を実施するとされています。減免に要する費用は公費から支出されます。

国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円
短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円
高等専門学校 約8万円 約23万円 約13万円 約70万円
専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円

4.      上記2.②の給付型奨学金に関しては、日本学生支援機構が各学生に支給し、学生が学業に専念するため、学生生活を送るのに必要な学生生活費を賄えるよう措置が講じられています。

<給付型奨学金の給付額(住民税非課税世帯)>(年額)

自宅生 自宅外生
国公立 大学・短期大学・専門学校 約35万円 約80万円
国公立 高等専門学校 約21万円 約41万円
私立 大学・短期大学・専門学校 約46万円 約91万円
私立 高等専門学校 約32万円 約52万円

5.      支援対象者の要件(個人要件)は、次のとおりです。

・高等学校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、高校等が、レポートの提出や面談等により本人の学修意欲や進学目的等を確認する。

・大学等への進学後は、その学修状況について厳しい要件(※)を課し、これに満たない場合には支援を打ち切る。

(※)廃止(支援打切り)の基準は、次のように定められています。

次の①~④のいずれかに該当するとき

   修業年限で卒業又は修了できないことが確定したこと

   修得した単位数の合計数が標準単位数の5割以下であること

   履修科目の授業への出席率が5割以下であることその他の学修意欲が著しく低い状況にあると認められること

   警告の区分に該当する学業成績に連続して該当すること

6.      大学等の要件(機関要件)は、次のとおりであり、国又は自治体に

よる要件確認を受けることが求められています。

○ 支援を受けた学生が大学等でしっかりと学んだ上で、社会で自立し活

躍できるように、学問追求と実践的教育のバランスの取れた質の高い教

育を実施する大学等を対象機関とするための要件を設定

‐実務経験のある教員等による授業科目が一定数以上配置されていること。

‐法人(大学等の設置者)の「役員」に外部人材が二人以上含まれること。

‐授業計画書(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること。

‐関係法令に基づき作成すべき財務諸表等(貸借対照表、収支計算書など)や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を公表していること。

○教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学等について実質的に救済がなされることがないようにするための経営要件を設定

次の3点いずれにも該当する場合は、対象機関としない。

‐直前3年度全ての収支計算書の「経常収支差額」がマイナス(法人の決算)

‐直前年度の貸借対照表の「運用資産-外部負債」がマイナス(法人の決算)

‐直近3年度全ての在籍学生数が収容定員の8割未満 (大学等の状況)(ただし、専門学校には経過措置あり)