消費税中間申告期限の延長について(新型コロナウイルス感染症関連の施策)

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(1) 中間申告期限の個別延長

① 通常の取扱い

消費税の中間申告については、前期の確定した税額から中間申告に係る税額を計算する「通常の中間申告(消法 42)」と、これに代えて、中間申告対象期間を一つの課税期間とみなして確定申告と同様に消費税額を計算する「仮決算による中間申告(消法 43)」の2つがあります。

また、その提出期限までに中間申告書の提出がなかった場合には、その提出期限において通常の中間申告による申告書の提出があったものとみなすこととされています(消法 44)。

したがって、原則として期限後の中間申告という概念は存在せず、仮決算による中間申告を希望する場合は提出期限までに提出する必要があります。

   個別延長の概要

新型コロナウイルス感染症の影響により、その提出期限までに中間申告書を提出することが困難な場合において、その後に「新型コロナウイルス感染症による提出期限の延長申請」である旨を付記した中間申告書を提出したときは、確定申告と同様に提出期限の延長が認められます。この延長は「通常の中間申告」、「仮決算による中間申告」のいずれについても認められます(国税通則法 11、国税通則法施行令3③、④)。

例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により当期の業績が悪化しているような場合には、通常の中間申告に代えて、仮決算による中間申告を検討することが想定されます。

その際に、外出自粛要請の影響など、通常の業務体制が維持できないことにより、例えば、

イ.通常の中間申告に係る納付税額と、仮決算による中間申告に係る納付税額を比較・検討するための準備に時間を要する

ロ.仮決算による中間申告に係る申告書の作成に時間を要する

など、中間申告書を提出期限までに提出することが困難となる場合が考えられますが、このような場合にも、提出期限の延長が認められます。

   提出期限延長の申請手続き

中間申告書の提出ができることとなった時点で、中間申告書の提出の際に、その中間申告書の余白部分に提出期限の延長申請である旨を記載し、提出すれば、事後的に提出期限の延長が認められます。

e-Taxで中間申告を行う場合は、「電子申告及び申請・届出による添付書類の送付書」の「電子申告及び申請・届出名」欄等に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力し、申告書と同時送信します。

   困難な状態が、確定申告書の提出期限まで続く場合

中間申告書を提出することが困難な状態が、確定申告書の提出期限まで続く場合には、その中間申告書の提出は不要となります(消法 42 の2)。つまり、中間申告により納付する消費税は生じないこととなるのです。

この場合には、確定申告書の余白に、中間申告書は新型コロナウイルス感染症の影響により提出できなかった旨を記載し、提出することとなります。

なお、所轄税務署から送付される確定申告書に印字されている中間税額には、その生じないこととなる税額が含まれているため、その生じないこととなる税額相当額を控除した金額に訂正する等の対処が必要となります。

以上、難解な文章となりましたが最後までお読みいただきありがとうございます。