上場会社の会計監査は監査法人! その他の会計監査は公認会計士事務所が最適!

公認会計士 4

はじめに

ここ2,3年上場会社の公認会計士等の異動が過去最多を更新している状況にあります。2022年は1年間で250社程度が公認会計士等の異動を公表しています。

理由は、大手監査法人や準大手監査法人が監査報酬を毎年増加させているからです。

結果、主として大手監査法人から中小監査法人等へ公認会計士等を異動する会社が大半を占めています。

では、なぜ、主として大手監査法人は監査報酬を毎年のように増加しているのでしょうか。

注)本日3月17日 赤坂有限責任監査法人に金融庁から行政処分勧告が出されましたので次回は当該勧告の内容についてブログを書く予定です。

監査報酬が増加する理由

   公認会計士等の会計監査を受ける組織の増加があります。

一つ目に、上場会社の場合は、IPO(新規株式上場)により上場会社数が増加しています。

二つ目に、社会福祉法人や医療法人等に対して、公認会計士等の会計監査が義務付けられ、上場会社以外の公認会計士等の会計監査が必要な組織が増加しています。

   金融庁や公認会計士協会(JICPA)の監査法人等に対する検査やレビューが厳しくなっているからです。

東芝の不適切会計以降、上場会社の不正事例の発覚が年々増加しているため、投資家保護の観点から、会社の不正(粉飾決算)を見抜けなかった監査法人(当事者ではない監査法人も含む)の会計監査の在り方について、金融庁等はより厳しく不正を見抜くための監査手続を要求しているからです。

結果、監査法人は以前よりより多くの監査手続を行わなければならず、金融庁等の検査でOKをもらうための書類づくりに奔走し、監査工数(被監査会社当たりの年間の監査時間)が年々増加しているからです。

監査工数の増加は、上場会社を監査している数が多い順に増加する傾向があります。

結果、監査工数の多い順番は

大手監査法人>準大手監査法人>上場会社を監査している中小監査法人

となります。

結論として、①公認会計士等の会計監査を受ける組織の増加、②監査工数の増加

以上二つが主として監査報酬が増加する理由です。更に、増加する金額は、被監査会社の多い順に、大手監査法人>準大手監査法人>上場会社を監査する中小監査法人となるのです。

監査事務所の規模別監査報酬の内訳

監査報酬=監査単価×監査工数

監査報酬は高い順に

大手監査法人>準大手監査法人>上場会社を監査する中小監査法人>上場会社を監査していない監査法人や公認会計士事務所

となります。

理由は、簡単です。

大手の海外事務所と提携している大手監査法人は提携料がかなり高額になり、もっと小さな海外事務所と提携している準大手監査法人や中小監査法人の場合は、提携料が安くなります。公認会計士事務所は提携料等の経費は発生しません。

上場会社は規模別に監査法人を選ぶべき

・グローバル展開している大会社→大手監査法人

・海外子会社に重要性のない大会社→大手監査法人または準大手監査法人

・営業活動のメインが国内で売上1000億円未満→準大手監査法人か中小監査法人

上場会社が中小監査法人を選ぶ際の注意点

上場会社を監査している中小監査法人もピンからキリまであります。

大手監査法人並みに社内教育制度が整い、金融庁等の検査等にも対応できる中小監査法人も中にはあるでしょう(私はほぼ見たことありませんが)が、大手監査法人に数年勤め中途退社して、税理士事務所を兼務しながら監査法人の一員となる中小監査法人がほとんどです。

そのような中小監査法人の場合は、従業員である公認会計士等も大手監査法人を中途退者した人材を活用するしかなく、中には、大手監査法人を中途退社し、独立した公認会計士を非常勤(いわゆるアルバイト)としてメインで活用する監査法人も少なくありません。

上記のような中小監査法人の場合、社内の管理体制も整っておらず、結果、金融庁の検査等の結果、『業務改善命令』を出され、最終的には解散するということも珍しくありません。

昨年(2022年)から現在まで(令和5年3月17日)、金融庁から行政処分等の勧告が出された監査法人は以下の5法人となっています。それ以前は数年に1法人程度でした。

●人智監査法人、●UHY東京監査法人、●監査法人ハイビスカス

●ひびき監査法人、●赤坂有限責任監査法人

上記のうち、仁智監査法人は解散することが決まっています。また監査法人ハイビスカスは2回目の行政処分がすでに1月出されており、今後どうなるかはわかりません。

公認会計士等の異動を行う上場会社のほとんどが会社の規模に適した監査報酬という理由で、中小監査法人へ変更しています。

それらほとんどの会社の監査報酬は2千万円前後というのが実情です。

大手監査法人は、被監査会社の内部統制の整備・運用も怪しく、監査の費用対効果が悪い会社に対しては特に監査契約更新の際に監査報酬を増加して提案し、監査契約が切れても構わないという姿勢で挑んでいるのがここ数年の傾向です。

ここで重要なことは、監査報酬が安いという理由だけで、中小監査法人へ変更することは絶対にしないという姿勢です。

上場会社以外のほとんどの会社は公認会計士事務所の監査を受けるべき

会社法単独の会社や、医療法人など他の法定監査のほとんどは、個人の公認会計士事務所の監査を受けることで会計監査に対して満足度が高くなると言えます。

例外として、1000億円以上の売上があり、支店も多い非上場の会社や全国展開する医療法人などは、大手を含む監査法人を選ぶべきです。

しかし、それ以外の会社の場合は、上場会社の監査をしている監査法人の監査を受けても何のメリットもありません。

【監査法人の監査のデメリット】

   監査報酬が高い

   監査が形式的で会計上の指導等がほとんどない

   監査メンバーがよく変わり、その都度、会社特有の処理等を説明する手間がある

などなど

監査報酬が高いのは、特に大手監査法人等海外事務所への提携料等が監査単価に反映されていること、また監査工数も金融庁等の指摘に合わせて監査手続を行うため、被監査組織の規模にかかわらず形式的な監査調書を作成し、監査工数が増加します。

また、公認会計士は独立志向が高いため大手・準大手にかかわらず、監査法人の離職率は高くなります。そのため監査メンバーがすぐに変わってしまうことになるのです。

上記のようなデメリットは、個人の公認会計士事務所の場合全くありません。

更に言うと、個人の公認会計士事務所の監査メンバーは税理士事務所を兼務したメンバーがほぼ100%であり、税務に関する知識もあるため、監査以外にも税務に関する相談もできる場合がほとんどです(税務代理はできません)。

以上の理由から、非上場の大規模ではない組織の場合は、公認会計事務所の監査を強くお勧めします。

最後に、上場会社以外の会計監査の場合は、署名をする公認会計士は一人で構わないという事実です。上場会社の場合だけ、二人以上の公認会計士の署名が要りますがそうでない場合は一人の署名で監査報告書の発行が可能であることを意外と知らない方が多いためお知らせして今回のブログを終わります。

参照)個人の公認会計士事務所による会計監査はメリットだらけ!

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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