会計監査人の異動(2022年11月)15社中11社が監査報酬の値上げで中小へ

監査②

はじめに

直近11月の監査人の異動もほとんどの会社が実質監査報酬の値上げを理由に会計監査人を交代しています。この流れはここ数年続いており更に加速しているようです。

異動理由の一般的な表現としては以下のように各社記載しています。

「監査環境の変化等により近年の監査報酬が増加傾向にあることから、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性等を踏まえ~」

上記のような異動理由はすべて監査報酬の値上げの提示を受けたものと理解して間違いないと考えています。

具体的な異動理由の開示例

1.大手監査法人→中小監査事務所

株式会社 PLANT/東証スタンダード(7646)

IR公表日 :2022/11/10

移動年月日 :2022/12/19

退任監査人 : 有限責任監査法人トーマツ

就任監査人 : 清稜監査法人

異動理由  :任期満了

監査役会が清稜監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、当社の事業規模に適した会計監査人としての独立性、専門性、品質管理体制及び監査報酬の相当性等を総合的に勘案した結果、当社の会計監査人として適任であると判断したためであります。

上記と同様に大手から中小への交代はその他5社(総数6社)ありました。

2.大手監査法人→準大手監査法人

株式会社キャリアデザインセンター/東証プライム(2410)

IR公表日 :2022/11/15

移動年月日 :2022/12/16

退任監査人 : EY新日本有限責任監査法人

就任監査人 : 太陽有限責任監査法人

異動理由  :任期満了

監査等委員会が太陽有限責任監査法人を会計監査人の候補とした理由は、当社の事業規模に適した会計監査人としての専門性、独立性、経済性、監査品質の確保、監査計画及び監査体制の適切性を有し、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を整えており、当社の会計監査人として適任であると 判断したためであります。

上記を踏まえ、以下の「異動の決定に至った経緯」に下記のような文言があります。

~今般、EY新日本有限責任監査法人より、監査法人をめぐる環境が厳しい中、翌事業年度の監査業務を差し控えたい旨の申し出がありました。 これを受け、上記のような状況下においても当社の事業規模に適した監査対応と監査品質の両面から、適正な水準の監査を提供できる体制を有するものと判断し、新たに太陽有限責任監査法人を会計監査人として選任するものであります。

最近出版された週刊誌の特集記事に、太陽有限責任監査法人は準大手ではなく「ビッグ5」と呼んでもいいのではないかとの記事がありましたが、監査証明業務の売上高だけを見ればビッグ4のPwCあらたの半分程度の売上高まで迫っています。

同週刊誌の会計士1人当たり売上高もビッグ4のあずさを上回っています。

ただし、会計士の在籍者数があずさ3,083人に対し、太陽は380人です。

まだビッグ5と呼ぶことはできないのではないでしょうか。

太陽有限責任監査法人を数年前に辞めた知人から聞いた情報によると、大手監査法人の受け皿となれる理由は別にあるようです。

おわりに

ブログの表題の通り、2022年11月は15社中11社が監査報酬の値上げ等を理由に中小監査事務所へ交代を決定しました。

大手から中小へ6社、中小からより規模の小さい中小へ5社、大手から準大手は2社、準大手から中小は1社、大手から大手へ1社です。

さらに、監査報酬が理由の11社以外の4社の異動理由は、①解散する仁智監査法人からの異動、②一時会計監査人(個人)から中小監査法人が就任、③不適切会計による中小間の異動、④監査継続年数長期化による大手間の異動、となっています。

結論として、大手間の異動と不測の事態での異動を除き会計監査人の異動(交代)はほぼ100%監査報酬の値上げが原因と言えるのではないでしょうか。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。

各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。

依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。

問い合わせ専用E-mail:info@yokota-profession.com

会計監査のご依頼・お見積りについてはこちらの問い合わせフォームより

監査②