電子化された監査報告書等を発行する場合の被監査会社との事前合意に係る留意点

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はじめに

2022年5月12日付けで日本公認会計士協会から「電子化された監査報告書等を発行する場合の被監査会社との事前合意に係る留意点(お知らせ)」が公表されましたが、その概要について見てみましょう。

事前の被監査会社との承諾

電子化された監査報告書等を発行する場合には、事前に被監査会社との承諾を得ることが求められており(公認会計士法第25条第3項、 第34条の12第3項)、当該承諾は、口頭ではなく、書面又は電磁的方法によることが必要とされています(公認会計士法施行規則第12条の2第 1項、第24条の2第1項)。

上記の承諾を得るに当たっては、被監査会社に対し、「電磁的方法の種類及び内容」として、次の事項を示さなければならないとされています(公認会計士法施行規則第12条の2第1項、第24条の2第1項)。

・監査人が被監査会社に対して受渡しを行う方法

・監査報告書のファイルへの記録の方式

電子化された監査報告書等の受渡し方法

受渡しを行う方法については、監査基準委員会研究報告第6号「監査報告書に係るQ&A」Q3-2では、公認会計士法施行規則第12条の2第2項及び第24条の2第2項に示された、次のいずれかによることが示されています。

① 電子メール

② 電子契約サービスなどのウェブサイトからダウンロードしてもらう方法

   CD-ROM・USBメモリ等の記録媒体

被監査会社に対して、受渡しを行う方法として上記3.の①~③の方法を並列的に記載することは、被監査会社に対して明確に示したことにはならず、適切ではないと考えられています。法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の「Ⅲ2.(5)⑤ア.被監査会社から承諾を得る場合の同意書の文例」においても、受渡しを行う方法の種類を特定した文例とされています。

おわりに

被監査会社との同意書の記載においては、不測の事態に備えて代替的な方法を予備的に記載することは差し支えないと考えられています。例えば、被監査会社の事前合意の段階で電子メールによる方法を指定する際に、あらかじめ次のように記載しておくことができると考えられるため、留意しましょう。

例1:「メールサーバーの停止等の事態が生じて当該方法が利用不可能となった場合」には、「ウェブサイトでのアップロード・ダウンロード又はCD-ROM・USBメモリ等の利用によることとする」

例2:「メールサーバーの停止等の事態が生じて当該方法が利用不可能となった場合」には、「書面による監査報告書を発行する」

さて、電子化された監査報告書についてはどれほど普及するでしょうか。当事務所においては導入する予定はありません。一部上場会社等で完全ペーパーレス化された被監査会社の場合には要望があるのかもしれません。

以上

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