公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ)

はじめに

2020年12 月 25 日に公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議より「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ)」が公表され、その中で会計監査人の設置義務付け範囲の拡大に言及されていますが、その概要について説明します。

会計監査人の設置義務付け範囲の拡大についての概要

1.本有識者会議は、新公益法人制度の発足から10 年が経過する中、複数の不祥事が発生するなどの公益法人の活動状況等を踏まえ、公益法人のガバナンスの更なる強化等について必要な検討を行うため開催されたものであり、本報告書は、公益法人のガバナンスに関する基本認識を明らかにするとともに、その改善の方向性を提言するものである。

2.本報告書では、公益法人のガバナンスについての基本認識及び公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する論点と取組の方向性として、「役員や社員・評議員のより一層の機能発揮」、「会計監査人の設置義務付けの範囲の拡大」、「透明性の確保の促進」、「法人による自主的な取組の促進・支援」、「残余の財産への行政庁の関与」について言及されています。

3.「会計監査人の設置義務付け範囲の拡大」では①「会計監査人による監査の意義」、②「会計監査人の設置義務付け範囲」、③「補助金等の受給と外部監査」の3点から整理されています。

4.上記3.①では、国民からの寄附等により取得した公益目的事業に使用すべき財産の厳正なチェックの重要性、会計監査人が置かれていない法人における不適切な処理や不正の事例、これらの事例は会計監査人からの指導や監査による牽制効果により防止できた可能性に言及されています。

5.上記3.②では、会計監査人による監査は法人の説明責任の履行を支援し強化する等の効力を有しているものと考えられること、不適切な事例も発生し国民に対する説明責任の重要性も増していること、公益法人が引き続き国民全体の理解・支援に支えられて活動を担うことが重要であり、公益法人への信頼をより高める観点で、会計監査人の設置義務付け範囲の拡大をすべきとされています。

6.一方で、会計監査人の設置には一定の費用を要することも事実であり、設置義務付けの範囲の拡大については、社会福祉法人における動向も注視するとともに、会計士協会など関係者と協議しつつ段階的に対応していく必要や、一定の準備期間の確保の必要について言及されています。

7.上記3.③では、国等から一定規模以上の補助金を受給している場合には、収益や負債の額による義務付け要件に達していなくても会計監査人の設置を義務付けるか否かについて、学校法人における監査制度や地方公共団体からの補助金検査等に言及しつつ、公益法人による補助金の受給動向に注視し、引き続き検討することとすべき旨が示されています。

公益法人の法定監査(現状)

法律上、公益社団法人・公益財団法人については、下記①~③のいずれかの条件を満たす場合には、会計監査人の設置が義務付けられています(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第12号、同法施行令第6条)。

①収益の額が1,000億円以上

②費用及び損失の額の合計が1,000億円以上

③負債の額が50億円以上

一般社団法人・一般財団法人については、負債の額が200億円以上の場合には、会計監査人の設置が義務付けられています(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第62条、第171条)。

上記要件について、今後引下げが検討されより多くの公益法人等において会計監査人の設置が義務付けされることでしょう!

以上

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