監査法人より個人の公認会計士事務所を選任すべき会社等とは(会計監査)

日経新聞20210911

はじめに

今年に入り、上場会社の会計監査人で中小監査法人のシェアが増加し、2割を超えているようです。

コロナ禍、監査報酬も単なる経費とみなされているのでしょうが(本来は社会的必要経費と信じています)経費削減の流れのようです。また、大手監査法人等は日本の監査報酬が国際的に見ても低い水準にあることから、KAMの導入(上場会社のみ)や収益認識に関する会計基準の適用により3割程度値上げを要求し、これに耐え切れず、中小監査法人へ変更する事例が多いようです。中小監査法人の代表をしている私の知人も数名いるので中小監査法人の実情はよくわかっています。

では、上場会社以外の会社法監査や学校法人監査等では個人の公認会計士事務所も当然選択肢に入ることになりますが、中小監査法人と個人の公認会計士事務所とではどちらが監査報酬や監査の現場における対応等を含めた満足度が高いのでしょうか。

 個人の公認会計士事務所の単独監査が可能な場合とは

※ここでは、当事務所での監査が対応可能な「売上規模300億円未満で従業員1,000人未満かつグローバルに海外展開していない法定監査対象会社等」に限定して比較検討します。

 (このブログは9月14日のブログの再投稿です。一部加筆・修正)

監査事務所の分類

監査を行う公認会計士または監査法人を分類すると以下の通りです。

①大手監査法人

②準大手監査法人

③中小監査法人(上場会社の監査をしている)

④中小監査法人(上場会社の監査をしていない)

⑤個人の公認会計士事務所

①は、トーマツ、EY新日本、あずさ、PWCあらたの4法人

②は、太陽、仰星、東陽、三優、PWC京都の5法人

③は、1社以上上場会社の監査をしている監査法人は105社(2020年10月時点)

④は、直近の日本公認会計士協会(JICPA)の会員数を基に、①~③を除くと114法人

⑤は、公表資料がないので事務所数は不明です。

監査報酬の比較

監査報酬の高低については、概ね上記分類の順番通りであり、事務所の必要コストから一般的には①の大手監査法人が最も高く、⑤の個人の公認会計士事務所がもっとも低くなります。

理由は、間接経費がどれだけ掛かるかということです。大手監査法人の場合、組織も複雑化し、間接部門も多く、また海外事務所との提携により提携料も多額に発生します。それら、間接経費は監査報酬にもちろん上乗せされるわけです。

更に、監査法人の規模が大きくなるほど人件費が多額に発生し、監査報酬の上昇に繋がります。なぜなら、監査法人の役員である社員(パートナー)は、現場作業をほとんどしません。この点は一般の大会社等でも同じですが、その人員数が圧倒的に違います。

株式会社等の場合役員の人数は、多くても10名~30名ほどでしょう。一方監査法人の場合は、大手監査法人の場合は500名~600名ほど在籍しています。

これら役員の一人当たり人件費は高くまた一般の会社の20倍~30倍の人数です。

この人件費が監査報酬に対するコストとして上乗せされるのですから、当然監査法人の規模が大きくなるほど監査報酬は高騰します。

⑤の個人の公認会計士事務所は、間接部門等はないことがほとんどであり、代表者と補助者の直接人件費が大部分を占めるため、同じ利益率だとしても監査報酬はもっとも低くなります。更に、個人事務所の代表者は自ら監査現場にて作業を行います。

当然、コストは安くなりこれに見合って監査報酬を安くすることが可能となります。

※ただし、一部例外的な監査法人が存在します。どの業界にも存在すると思いますが、監査基準等で求められている必要最低限の監査を行わず、監査報告書を安易に発行する監査法人です。

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中小監査法人の分類③と④の相違

「監査事務所の分類」における③と④の違いは、③は上場会社を監査している監査法人なので、④よりは当然、監査報酬が高くなります。

理由は、日本公認会計士協会(JICPA)のレビューや金融庁の検査が少なくとも3年に1度は行われるためこれに対応するための費用が実はかなり掛かります。

レビュー等の期間は少なくとも2週間から1か月以上となり、レビュー等に対応して監査調書を整理する時間や人員、レビュー時に対応する時間や人員が必要なためです。

したがって、以下、比較対象とするのは④の中小監査法人(上場会社を監査していない)と⑤の個人の公認会計士事務所で比較します。

中小監査法人より個人の公認会計士事務所の方が満足度は高い

結論から述べますが、個人の公認会計士事務所の方が報酬も低く、監査現場での監査の満足度は高くなります。

ここで大事な前提を一つ、

個人の公認会計士事務所と言っても、代表者個人の能力によりそれぞれの事務所の数だけ満足度に違いが生じます。

なので、過去に上場会社の監査を監査責任者として行った個人事務所に限定します。

過去に上場会社の監査を行った個人事務所は、日本公認会計士協会(JICPA)のレビューや金融庁の検査を受けています。なので、監査品質に関しては客観的に問題ないと言えるからです。

中小監査法人では、報酬は個人事務所よりは高くなります。監査現場での満足度に関しては、過去に上場会社の監査を行った監査責任者が監査を行うなら、上記個人事務所との満足度に差はないと言えるでしょう。ただし、同じ満足度でも監査報酬が高くなる分結論として、個人の公認会計士事務所の方が満足度は高いということになります。

当事務所では2017年3月期まで上場会社の監査を行っております。

 当事務所代表 横田公認会計士のプロフィール

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おわりに

上場会社ではなく、グローバルに海外展開していない貴方の法定監査対象会社等では、大手監査法人や準大手監査法人、中小監査法人(監査法人)と監査契約を締結していませんか?

これから新規に会計監査を受ける会社等の方で、会計監査は監査法人が行うものだと思っている方はいらっしゃいませんか?会計監査は個人の公認会計士事務所で対応可能であり、メリットが一番多くあります。

監査法人と監査契約をしているまたはこれから新規に会計監査人を探しているのならはっきり言います「無駄な間接経費や高い人件費を上乗せされた監査報酬を支払って形式的な監査を受けても良いのですか」!

今すぐ、上場会社の監査経験のある個人の公認会計士事務所に変更することをお勧めします。当事務所の監査にご興味があるなら以下のブログを参考にしてください。

 個人の公認会計士事務所による会計監査はメリットだらけ!

当事務所では、3月決算を除く会社等の会計監査は大歓迎です。必ず監査報酬を上回るメリットを感じていただけると確信しています。

以上

日経新聞20210911

 

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

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