監査上の留意事項(その7)日本公認会計士協会(JICPA)3月2日公表

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はじめに

緊急事態宣言が続く首都圏では、コロナ感染者が下げ止まり、逆に前週比増加に転じてきています。今日の東京の新規感染者も300人と発表されました。今週末には期限を迎える緊急事態宣言、さてどうなることでしょうか。個人的には、首都圏では緊急事態宣言慣れが生じているため、解除して新たな対策を個別に実施すべきだと思っています。

では、本題ですが、日本公認会計士協会(JICPA)は3月2日、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)」を公表しました。

これは、企業会計基準委員会(ASBJ)が2月10日に更新した議事概要(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)を受けたもので、JICPAが昨年4月10日に発出した同留意事項(その2)を「改めて周知する」としています。

JICPAの会員からは、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響に関して「仮定が明らかに不合理でなければ結果的に乖離が生じても誤謬には当たらない状況が継続するのか」や見積開示基準との関係を問う声が上がったため、これらの点を取り上げて注意を促しています。

監査上の留意事項(その7)の留意点

・経営者も監査人も共に、見積りに関する会計処理や監査において極めて難しい判断を迫られる場合も想定される。

・監査人には、職業的専門家としての公正な判断と誠実な行動が一層求められる。

・見積りに関する会計処理について、被監査企業の経営者及び監査役等と通例よりも注意を払って適時かつ適切にコミュニケーションを実施する。

・経営者による顔に楽観的な会計上の見積りの許容は適切ではないが、企業の収益力やキャッシュ・フローの獲得能力について、実態とかい離した過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断することも適切ではない。

新型コロナウイルスの今後の広がり方や収束時期等の予測が困難な状況が続いています。3月決算に向けて「特にキャッシュ・フローの予測が極めて困難な状況」との認識が多く聞かれます。

首都圏は現在も緊急事態宣言下に置かれ、昨年4月の緊急事態宣言の期間と合わせると企業の事業年度のおよそ3分の1の期間において事業活動に制限を課されたことになります。

飲食業や旅行業など一部の業種では業績や財政状態への深刻な影響が明らかになっていることから、留意事項(その7)ではこれらの企業の監査人に向けて「経営者及び監査役等との適時かつ適切なコミュニケーションの実施」を強調しています。

留意事項(その2)があげていた会計上の見積りの監査に当たっての留意点

・企業が置いた一定の家庭が明らかに不合理でなければ事後的な結果との乖離が生じたとしても「誤謬」には当たらない。

・経営者の角に楽観的な会計上の見積りを許容することや、過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計銖の見積りを重要な虚偽表示と判断することは適切ではない。

・会計上の見積りの不確実性が財務諸表の利用者等の判断に重要な影響を及ぼす場合には、企業による見積りに関連する情報の開示を通じて、有用な情報を提供することを検討する。

おわりに

留意事項(その7)では、上記の留意点を再確認しつつ、特にこの3月決算から適用となる見積り開示基準(企業会計基準第31号)との関係についてASBJ議事概要(2月10日更新)の確認を呼びかけたものとなります。同議事概要は、見積り開示基準適用後の取り扱いなどを示しています。ご興味のある方はご確認ください。

【企業会計基準審議会】 「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(2021年2月10日更新)」

https://www.keidanren.or.jp/announce/2021/0210.html

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