監査のオンライン化を推進:自民党小委員会の提言

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はじめに

緊急事態宣言が先週の1都三県から本日14日より大阪など2府5県が加わりました。去年の緊急事態宣言との違いは、学校等が一斉休校となっていないことや、時短や休業要請の範囲が飲食店等クラスター発生の可能性が高いところに集中していることです。

また、人々(特に若者)の考え方が去年と変化しているように思われます。去年は若者も含め、感染すると重症化や命の危険を身近に感じたように思いますが、「慣れ」でしょうか、高齢者や基礎疾患がない人は無症状も多く、それほど怖いウイルスではない、または身近に陽性者が居ないことから他人事のように感じているのではないでしょうか。とにかく、街の人々の往来はあまり減少していないようです。

2月7日に1日の感染者が減少して、緊急事態宣言が終わるのか誰もが懐疑的に思っているのではないでしょうか。私は、感染者がかなり減少していることを切に願っています。

それでは本題に入ります。

自民党宇野政務調査会・金融調査会は12月18日、「コロナ禍における高品質な会計監査の維持に向けて」(中間提言)をとりまとめました。

昨年2月以降、我が国で新型コロナウイルスの感染者がでると、上場企業の決算業務や監査業務、リスク情報の開示と株主総会等についての懸念が出始めました。

そうした状況を受けて同小委員会は関係者から事情を聞くなどして問題を確認しました。

今回の中間提言は、経過を注視してきた課題への対応を総括して、関係者にデジタル技術の活用等による今後の取り組みを促すものとなっています。

コロナ禍の前期3月期決算の総括

新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、自民党の小委員会が関係機関に対応を求めた点について以下のように振り返っています。

企業会計小委員会は、企業や公認会計士または監査法人が十分な時間を確保することによる高品質な会計監査の維持等に向けて関係機関に対して以下の対応を促した。

・有価証券報告書等の提出期限延長

・新型コロナウイルス感染症の拡大が事業活動等に与える影響に関する早期開示・開示の充実

・オンライン等での開催を含む株主総会の開催方法等に関する周知

上記、取組みや現場の関係者の努力により、感染拡大のピーク時を含め、クラスターの発生等の大きな混乱はなく、3月期の決算・監査業務を乗り越えられた。

ただし、関係者間での懸念は払しょくしきれていないのが現状です。すなわち「現場が無理して乗り切った」との声もあり、継続的な対応が必要との認識があります。

提言の内容

自民党の中間提言では、新型コロナウイルスの影響長期化に備え「健康や安全を優先しつつ、上場企業には適時開示を、監査法人等には高品質な監査の徹底」を求めています。

現下の状況等を踏まえてあげた具体的な提言項目は次の通りです。

・進行年度監査の進め方について、企業等と監査人が早い段階から適切にコミュニケーションをとる必要がある。監査人はリスクアプローチに基づきつつ、不正リスクへの対応も念頭に監査を徹底されたい。

・デジタル技術を活用した監査を行う上で課題とされた点につき、日本公認会計士協会(JICPA)や全国銀行協会等の関係者の協力により、特に棚卸卸立会に伴う留意点の明確化や残高確認錠のオンライン化を進めるべきである。

監査人による遠隔地からの実地棚卸の立会(リモート棚卸立会)について、実務上考慮すべき事項等を整理する必要がある。

監査人による残高確認の手続きについて、上場会社だけでも100万通ほどあると推計される残高確認状のオンライン化を推進する必要がある。

・従業員等の健康・安全を優先するため、上場企業等が株主総会の開催時期を変更する場合に備えておく必要がある。2021年の基準日の到来に先立ち、決算・監査手続きに関する日程を監査役会・監査委員会・会計監査人と十分に調整し、株主総会開催日を後ろ倒しにするための別の基準日を設けることも検討することを期待したい。

以上が提言の内容です。

おわりに

今回、取り上げた自民党の小委員会の中間提言は、主として社会的に影響が大きい上場企業を念頭に置いた提言ですが、監査のオンライン化が定着すれば、上場企業のみの問題ではなく、会社法監査、医療法人監査等の監査にも影響する内容です。

「リモート棚卸立会」、「残高確認状のオンライン化」は、当然上場企業以外の監査にも適用されるようになるでしょう。

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