建設業等における収益認識に関する監査上の留意事項(公開草案)公表

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はじめに

18日に新型コロナウイルスのワクチンについて、「ファイザー」から承認申請がされました。日本での接種は2月下旬に医療従事者から3月には高齢者から接種が始まる予定とのことです。英国や米国ではすでにワクチンの接種が始まり、米国時期大統領のバイデン氏が公開で接種している画像が放映されました。なぜ、日本は英国や米国と比べて2ヶ月以上もワクチン接種が遅くなるのでしょう。よくわかりません。東京の感染者の状況を見ていると、すぐにでもワクチンを接種できるようになぜできないのでしょうか。

それでは、本題に入ります。

日本公認会計士協会(JICPA)は12月11日監査・保証実務委員会研究報告「建設業及び受注制作のソフトウェア業における収益の認識に関する監査上の留意事項」(公開草案)を公表しました。2021年4月1日以降開始する事業年度の期首からの収益認識会計基準の適用に伴い、工事契約会計基準・適用指針やソフトウェア取引に係る実務対応報告第17号が廃止となります。

これを受けて、工事契約会計基準等の適用が多い建設業および受注制作目的のソフトウェア業に関する監査上の留意事項を整理したものです。

研究報告(公開草案)の経緯と対象

来年4月1日から適用開始となる収益認識会計基準等によって、これまで工事契約会計基準における工事進行基準や工事完成基準に従って収益認識してきたものが「履行義務の充足のパターン」に従って認識することになります。これに伴って以下3本の基準等が廃止されます。

・「工事契約に関する会計基準」企業会計基準第15号

・「工事契約に関する会計基準の適用指針」企業会計基準適用指針第18号

・「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の対応」実務対応報告第17号

JICPAでは財務諸表監査のおける留意事項を「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第91号)としてまとめていましたが、上記基準等の廃止に伴い「工事契約会計基準及び工事契約適用指針の適用が多い建設業及び受注制作目的のソフトウェア業について、収益認識会計基準及び収益認識適用指針を適用した場合の企業の財務諸表の監査において留意すべき事項等を整理するとともに、監査・保証実務委員会実務指針第91号への影響について調査・研究を行った」ということです。

調査対象としたのは、収益認識基準第38項に定める収益認識方法を適用している企業における監査上の留意事項です。

研究報告(公開草案)の位置づけ

今回の公開草案には、研究報告の背景として、工事契約等に適用する収益の認識方法として、工事契約等に適用する収益の認識方法では「履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、一般的に会計上の見積りの不確実性の程度が大きく、会計上の見積りに関する重要な虚偽表示リスクが高くなることが多い。この重要な虚偽表示リスクには、会計上の見積りの判断を誤ることによる誤謬のみならず、履行義務の充足に係る進捗度の調整を通じた収益の操作や原価回収基準の恣意的な適用による収益の操作などの不正によるものも含まれる」などの記載がります。こうした考え方は現行の実務指針第91号と同じで、収益認識基準に沿うように表現を見直していることがわかります。

一方、文書の体裁は規範性のある実務指針から公開草案の研究報告へと変わります。

JICPAは「収益認識会計基準の適用に関していまだ実務が成熟していない状況にあることに鑑み、本留意事項については研究報告として取りまとめた」として、「会員の監査実務における今後の参考」として役立てたい考えです。

おわりに

建設業等における収益認識基準である工事進行基準等には、見積りの要素が大きく今までも恣意的に収益を操作することが可能であり、今後も恣意的な操作を監査上判断することは非常に困難を伴います。

当事務所では、工事等の完成により計上される原価と進行基準の適用時における見積総原価の比較を検証して(バックテスト)、会社の見積り担当者の見積りの精度や傾向を把握し、見積り担当者特有の見積りの傾向を分析して恣意性の程度を把握するようにしています。

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