公認会計士による会計監査で個人の単独監査が可能な場合とは

監査②

はじめに

年末年始も近づき、新型コロナウイルス感染症の第3派の収束時期やGo To トラベルの除外が話題になっていますが、東京都は65歳以上の高齢者にGo To トラベルの自粛を呼びかけるというなんとも中途半端な対応を行っています。

一方でモデルナ社のワクチンが今月17日にも米食品医薬局で承認される見通しとの観測も伝わり日米の株価指標は上昇をしています。

みなさんがワクチンを接種し、コロナ後の状況が待ち遠しい今日この頃です。

今回は、会計監査は監査法人の監査のように組織的に複数人数で行われるのが一般的ですが、個人の公認会計士が単独で監査を行える場合について検討してみます。

監査の歴史でも述べましたが、半世紀ほど前には上場会社も個人単独で監査を行っていた時代もあります。それがだめになったのは、個人単独監査の限界により粉飾決算が発生したからです。監査の歴史は、粉飾決算が発覚する度に、それを防ぐために監査法人制度や、更に複雑な手続きが要求されるという繰り返しで今に至っていると言っても過言ではないでしょう。

単独監査の可否

1.「公認会計士は、大会社等の財務書類について第2条第1項業務を行うときは、他の公認会計士若しくは監査法人と共同し、又は他の公認会計士を補助者として使用して行わなければならない。」とあり、大会社等を単独で監査することは禁止されています(公認会計士法第24条の4)。

2.公認会計士法上の大会社等とは、以下とされており(公認会計士法第24条の2)、公認会計士法施行令第8条~第10条)、大会社等に当たらない非上場の会社法監査、学校法人や医療法人、労働組合はこれに含まれないことから、原則として単独監査は可能です。

【大会社等】

・会計監査人設置会社(最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が100億円未満であり、かつ、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が1,000億円未満の株式会社を除く。)

・金融商品取引法第193条の2第1項又は第2項の規定により監査証明を受けな

ければならない者(政令で定める者を除く。)

・銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行

・長期信用銀行法(昭和27年法律第187号)第2条に規定する長期信用銀行

・保険業法第2条第2項に規定する保険会社

・前各号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者

3.ただし、監査チームの選任に関しては、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」(以下「品基報第1号」という。)において要求事項等(第29項、第30項、第A26項、第A27項)があります(詳細は省略)。

4.上記3.を踏まえ、非上場の会社法監査や学校法人等における取引の内容が複雑かつ高度であり、取引規模に応じて、複数の公認会計士による組織的監査が必要であると判断した場合には、他の公認会計士若しくは監査法人と共同監査とするか、又は他の公認会計士を補助者として使用して行うことを検討する必要があります。

逆に言うと、取引内容が複雑ではなく、取引規模に応じて、個人の公認会計士が単独で監査ができると判断した場合は単独での監査が可能であると言えます。

おわりに

実際、現状で単独監査が行われているのは、大規模ではない幼稚園の監査や労働組合の監査です。これら取引が少ないが会計監査が必要な組織においては監査報酬もそれほど支払う財力もありません。そのような場合に単独監査が行われているのが実情です。

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い会計監査を目指しています。

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3月決算の会社等の監査は日程等についてご相談ください。3月決算を除く会社等の監査はまだ日程的にお受けできますので大歓迎です。

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