日本公認会計士協会会長声明「改定監査基準への適切な準備と対応」

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はじめに

日本公認会計士協会(JICPA、手塚正彦会長)は11月11日、会長声明「監査基準の改定に関する意見書」の公表を受けて」」を発表しました。

同日付で企業会計審議会が取りまとめた改定監査基準を受けて、「その他の記載内容」と「リスク・アプローチの強化」について、社会からの期待に適切に応えることや、監査品質の一層の向上に取り組む必要性を強調しています。

さらに、2021年3月期から適用される監査上の主要な検討事項(KAM)についても言及し、財務諸表等の利用者にとって有用な情報が提供されるように取り組むことを併せて要請しました。

「その他の記載内容」について

金融庁・企業会計審議会は11月6日に開催した総会・第7回会計部会で「監査基準の改定に関する意見書」および「中間監査基準の改定に関する意見書」(改定監査基準)を取りまとめ、11月11日公表しました。

改定監査基準では、2022年3月期から強制適用となる「その他の記載内容」(監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書を除いた部分の記載)に関して監査人が実施すべき手続を明確化するとともに、監査報告書に必要な記載を求めることとされています。

また、」リスク・アプローチに基づく監査の実施において、特別な検討を必要とするリスクを含む重要な虚偽表示のリスクの評価についての強化が図られています(2023年3月期から強制適用)。

「その他の記載内容」に関する現行の監査基準からの変更点としては、例えば「監査の過程で得た知識との比較として、「その他の記載内容と監査人が監査の過程で得た知識の間に重要な相違があるかどうかを検討すること」などがあります。

この点、JICPA会長声明では、この「その他の記載内容」に関する理解を深め、通読と検討及びその結果についての監査報告書における記載を通じて、「非財務情報の開示の拡充に関する社会からの期待に適切に応える必要がある」と強調しました。

また、リスク・アプローチに基づく監査に関しては、会計上の見積り等についてのリスク評価を適切に行い、そのリスクに応じた深度ある監査手続を実施できるように監査のプロセスを見直すなど、監査品質の一層の向上に取り組むことの必要性を唱えています。

我々JICPA会員各位に対しては、「改定監査基準を今後の監査実務に適切に導入するため監査計画の立案や十分な監査時間の確保に向けて、経営者や監査役等と十分なコミュニケーションを行うこと」に留意するよう求められています。

KAMについて

会長声明では、2021年3月期の上場会社等の金融商品取引法監査において強制適用となる「監査上の需要な検討事項」(KAM)についても言及しています。

新型コロナウイルス感染症等の影響による厳しい経済環境下、資本市場に対して有用な情報を提供することの重要性が高まっているとして、この認識を踏まえ、KAMの記載により「実施した監査の透明性を向上させ、利用者にとって有用な情報が提供されるよう」取り組むことを併せて要請しています。

おわりに

改定監査基準での「その他の記載内容」と「リスク・アプローチの強化」は、横田公認会計士事務所が対象とする非上場の会社法監査等の監査においても、何らかの形で影響が出てくることでしょう。今後の公表物等について注意してみていきたいと思っています。

一方、「監査上の主要な検討事項」(KAM)については、上場会社等の金融商品取引法監査の置いて強制適用となりますが、その他の監査においては強制適用ではありません。ただし、適用をすることは妨げられませんので、KAMを記載して欲しいといった要望があればいつでも対応できる知識は身に付けておきたいと思っています。

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