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ブログ - 大阪で会計士の監査は横田公認会計士事務所

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上場会社監査に関する登録制の導入など:公認会計士法等の改正

カテゴリ: 監査 公開日:2022年12月07日(水)

はじめに

公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律2022 年5月11 日付けで通常国会で可決・成立、公認会計士法が改正されましたが、もう一度ここでその概要について解説しましょう。

本改正は、上場会社監査の担い手の裾野の拡大や、ダイバーシティの進展・働き方の多様化といった、会計監査を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」から公表された論点整理「会計監査の更なる信頼性確保に 向けて」において示された論点のうち、会計監査の信頼性確保や公認会計士の一層の能力発揮・能力向上に資する制度を実現するために行われたもので、主な改正は次のとおりです。

会計監査の信頼性確保

上場会社監査に関する登録制の導入

公認会計士・監査審査会によるモニタリングの見直し

公認会計士の能力発揮・能力向上

監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し

その他の事項

上場会社監査に関する登録制の導入

本改正では、これまで日本公認会計士協会の 自主規制の枠組みにおいて運用されていた上場会社監査事務所登録制度について、法律の下で運用する枠組みに変更されています(公認会計士法第34条の34の2等)。

なお、制度の詳細設計と運用は引き続き日本公認会計士協会(JICPA)で実施することとされています(公認会計士法第34条の 34の6)。

また、登録を受けた監査事務所に対しては、適切な業務管理体制の整備等について、より高い規律付けが行われています(公認会計士法第34条の34の14)。

すべての監査事務所に共通の規律 上場会社等の監査へのより高い規律

・特定の利害関係を有する場合の業務制限

・一定の非監査証明業務との同時提供の禁止

・登録制による適格性の確認

・適切な業務管理体制の整備

(監査法人のガバナンス・コードに基づく組織運営や、情報開示の充実)

公認会計士・監査審査会によるモニタリングの見直し

本改正では、公認会計士・監査審査会の立入検査等において、監査法人等の業務運営に加え、虚偽証明等の検証も行えることとされています(公認会計士法第49条の4第2項)。

現状の金融庁による監査法人への行政処分勧告等は、監査法人等の業務運営に対してのみでした。例えば、2022年5月31日の仁智監査法人に対する行政処分の処分理由の一部に以下の指摘があります。

『法人代表者及び品質管理担当責任者を含む各社員においては、各人の個人事務所等における非監査業務への従事割合が高く、当監査法人における監査の品質の維持・向上に向けた意識が希薄なものとなっていることから、上記の改善勧告等を法人の業務運営の根幹に関わる問題として認識していない。』

監査法人の処分について:金融庁 (fsa.go.jp)

今後は、虚偽証明等の検証も行えることから虚偽証明があった場合についても直接行政処分の理由とされることが想定されます。

監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し

現行法では、監査法人の独立性確保のため、 監査法人の社員の配偶者が役員等を務める会社等に対して、その社員が当該会社の監査に関与するか否かを問わず、監査法人による監査業務の提供を制限していましたが、本改正では、監査に直接関与する社員等に限定した制限に見直しが行われています(公認会計士法第34条の11第1項)。

簡単に言うと、監査法人の社員の配偶者が役員等を務める会社に対しては、直接その会社の監査チームの一員として監査を行っていなくても監査法人として監査することができなかったわけですが、直接チームの一員(業務執行社員)としてかかわらなければ監査法人としては監査することができるということです。

これは、共働き世帯の増加・女性活躍の進展・監査法人の大規模化が進む中、独立性に及ぼす影響を踏まえ、配偶者である監査法人の社員が直接監査証明業務に関与するケースに業務制限の対象を限定することで、監査法人としてはより業務の幅が広がる点に注意してください。

その他の事項

その他の事項としては次の改正が行われています。

・企業等に勤務している公認会計士の登録事項に「勤務先」を追加(公認会計士法第17条)

・資格要件である実務経験期間の見直し(2年以上→3年以上)(公認会計士法第3条)

・継続的専門研修の受講状況が不適当な者等の登録抹消規定の整備(公認会計士法第21条)

・日本公認会計士協会による会計教育活動の推進(公認会計士法第44条第1項)

おわりに

施行は、公布(2022年5月18日)の日から起算して1年を超えない 範囲内において政令で定める日からとされています(附則第1条)。

会長声明「公認会計士法の改正について」 | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。

各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。

依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。

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法律改正

金融庁 中小監査法人や個人事務所も対象としたガバナンス・コードへ見直し

カテゴリ: 監査 公開日:2022年11月25日(金)

はじめに

金郵貯は、11月14日「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」の第7回会合を開催しました。

前回の議論を踏まえコードの見直しの方向性案が示されました。大手監査法人に限定した記載内容の削除、中小監査法人に形式的な経営機関や監督機関の設置を必須としないことなどが盛り込まれています。

日本公認会計士協会(JICPA)は中小監査法人等の体制整備支援に向けて「監査品質のマネジメントに関する年次報告書」の作成を求めるなど、具体的な取り組み案を説明しています。

監査法人のガバナンス・コード見直しの方向性案(概要)

<コードの対象>

・現行の大手監査法人を念頭に置いた記載を削除し、上場企業等の監査を担う監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定していることを「前文」に明記する。

・上場企業等の監査を担う共同監査事務所や公認会計士個人も対象とする。

<運用手法>

コンプライ・オア・エクスプレイン(=遵守(コンプライ)せよ、さもなくば、説明(エクスプレイン)せよ)の在り方や考え方を「前文」に明記する(形だけのコンプライではなく、コンプライしない理由や将来的な方向性の説明など)。

<JICPAの役割>

監査法人の体制整備等が実態を伴ったものになるよう、JICPAが自主規制の下で十分な指導・監督機能を発揮していくことが期待される胸を「前文」に明記する。

近年、上場企業の監査を大手監査法人から中小監査法人に交代するケースが増加していることに加え、改正公認会計士法等により、上場企業の監査を行う監査法人等はガバナンス・コードに沿った業務管理体制の整備が求められる方向にあります。

大手監査法人を念頭に置く、現状のガバナンス・コードをどのように見直すかが注目されていますが、中小監査法人等の受け入れになじむ工夫の観点に関しては、現行のガバナンス・コードでは、法人の組織的な運営に関する機能を実効的に果たすことができる経営機関の設置(原則2)、経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価する機関の設置(原則3)について見なおす方向です。

見直し案では「特別な機関を設置せずに経営機能や監督・評価機能を確保している場合は、その合理性を説明すること」、「監督・評価機能を担う独立第三者に期待する要件を開示すること」を各原則に明記することを提案しています。

おわりに

ガバナンス・コード見直し案の適用時期は2024年7月以降となりそうであり、次回の金融庁の検討会でガバナンス・コードの改定案が示される予定となっています。

以上

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金融庁

免税事業者に支払った交際費は仕入税額控除できない?!

カテゴリ: 税務 公開日:2022年11月25日(金)

はじめに

法人が支出した交際費等については損金算入額等を計算する際、税抜経理を採用している場合、原則として消費税等抜きの交際費等の額をもとに計算する。

インボイス制度導入後に、免税事業者に飲食費等の交際費を支払い、仕入税額控除に係る経過措置を適用する場合は、仕入税額控除相当額のうち仕入税額控除の対象外となる部分について交際費等の額に含めて計算することとなる(=仕入税額控除できない)。

新食費の5000円基準の判定においても消費税の仕入税額控除できるかできないかによって、金額が同様に影響することとなる。

交際費の損金不算入制度

法人が支出する交際費等の額は、原則として損金不算入とされます。

ただし、資本金100億円以下の法人では、交際費等の額のうち接待飲食費の50%相当額を超える部分が損金不算入となります。

資本金1億円以下の法人については、接待飲食費の50%損金不算入と年800万円まで損金算入可能でそれを超える額については損金不算入となる制度の選択適用ができます。

これら交際費等の額の計算において、税抜経理の場合は、仕入税額控除の対象となる消費税等は交際費等の額に含めない額で計算されます。

免税事業者に支払う交際費は仕入税額控除できない?

インボイス制度の導入後は、免税事業者等に交際費等を支払った場合、原則として仮払消費税等の額がないものとされ、仕入税額相当額の全額を交際費の額に含めて計算することとなります(ただし下記経過措置参照)。

インボイス制度実施にあたっての経過措置invoice15b.pdf (nichizeiren.or.jp)終了後(R11年10月1日以降)は、例えば、税抜経理をしている法人が免税事業者に対し飲食費として1人当たり税込み5,390円(消費税率10%)を支出した場合は、資本金100億円以下で資本金1億円以上の法人は50%相当額が損金不算入となります。

一方、令和5年9月30日までであれば、1人当たり税込5,390円は税抜4,900円であり5,000円以下となるため「会議費」として交際費等の額から除かれ損金算入が可能となります。

おわりに

これまで、5,000円以下か5,000円を超えるかにについて注意を払っていた営業担当者等は、インボイス制度導入後の免税事業者に対する飲食費を支払う際に注意が必要となりますので交際費の個人別限度額が決められている会社等の場合にかなり悩ましいこととなりそうです。

ただし、接待をする相手が免税事業者かどうかなど明らかな場合を除いて確認できるでしょうか?得意先の場合は請求書を発行しますが、請求書を発行してもらうことはないでしょう。免税事業者かどうかは請求書をもらわないと通常わからないのではないでしょうか。

また、余程の金額ではない限り、税務調査においても免税事業者に対する交際費かどうかについてまで調査するでしょうか?

あまり気にする必要はなさそうであると個人的には感じています。

以上

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交際費

インボイスの経費精算に係る立替金精算書が必要なケース

カテゴリ: 税務 公開日:2022年11月25日(金)

はじめに

仕入税額控除の観点では、経費精算に係る立替金精算書が必要なケースとは、領収書等の宛名が会社名ではないケースとなります。例えば、多くの場合層ではないかと思いますが、従業員が自身の氏名で領収書等を受領した、従業員が個人のサイトでインターネット通販を利用した際に領収書等の氏名が入っていた場合です。

立替経費精算書の保存が必要

消費税のインボイス制度において、従業員が経費を立替払いした際に受領した領収書等(インボイス)の宛名が従業員の氏名になっている場合、会社が仕入税額控除を受けるには、インボイスのほかに、会社名等が記載された立替金精算書の保存が必要となります。

一方、従業員の経費の立替払いで宛名に会社名が記載されたインボイスや宛名浮揚の簡易インボイス(スーパー等のレシートなど)を受領した場合には、仕入税額控除を受けるにあたり、立替金精算書を作成・保存する必要はありません。

仕入税額控除を受けられるケース

インボイス制度では、インボイスの交付を受ける事業者や発行事業者の登録番号等が記載されたインボイスまたは宛名不要の簡易インボイスを保存等することで、仕入税額控除を適用できます。

従業員が経費を立替払いした場合、通常のレシートや領収書等を受領します。不特定多数の者に半番頭を行う小売店等のレシートは、新名不要の簡易インボイスとして、会社はそのレシートの保存で仕入税額控除を受けられます。従業員が領収書等を受け取る場合、宛名を会社名にしてもらうことが通常で、インボイスとしての他の記載事項を満たしていれば、会社は仕入れ税額控除が可能となります。

フリーランスの委託業務における出張のようなケースでは、宛名がフリーランスの氏名の領収書等のケースが多いでしょう。このような領収書等では、会社が支払った費用かわからないため、会社名等が記載された立替金精算書によって、支払者が会社であることを示すことになります。

おわりに

そもそも宛名の記載が不要の簡易インボイスの場合は、支払者が会社であることを示す立替金精算書は不要というわけです。

そもそも令和5年9月30日までは税込3万円未満の課税仕入れについては、レシートや領収書がなくても帳簿への記載だけで仕入税額控除が認められます。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

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インボイス制度 3

在宅勤務の交通費 遠方から一時出社する場合給与課税されない場合とは

カテゴリ: 税務 公開日:2022年11月10日(木)

はじめに

新型コロナウィルス感染症の拡大を契機として普及したテレワーク。一部企業では、働き方の多様化を推進する観点から、ポストコロナ渦でも勤務スタイルを原則テレワークとする動きがあり、従業員等の地方移住を認める会社もあるようです。

原則テレワークの従業員等が、業務命令に基づき遠方の自宅から一時的に出社する場合、交通費が多額となり非課税限度額を超えることも考えられるでしょう。

会社が交通費を実費精算する場合、従業員の労務の提供地を「自宅」とし、社内規程を整備するなど一定の要件を充足すれば、月額が非課税限度額15万円超であっても出張旅費として全額が給与課税されないこととなります。

自宅から本社間移動は「出張旅費」に該当するか!

所得税法上、会社が従業員等に対して金品を支給すると経済的利益の供与として給与課税されます。ただ、通勤のために通常必要と認められ、最も経済的かつ合理的な経路及び方法による交通機関を利用した交通費は、「通勤手当」として非課税限度額の月額15万円まで給与課税されず、15万円を超えた部分については給与課税されます(所法9①五、所令20の2一)。

一方、勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行した場合に、通常必要であると認めらえる交通費は、「出張旅費」として全額が給与課税されません(所法9①四)。

テレワークをする従業員等が、業務命令等に基づき一時出社する場合の交通費全額が給与課税されないためには、自宅と本社等間の移動が、「勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行」に該当する必要があります。

労務の提供地によって異なる結果となる

「勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行」の該当性は、実態に基づき判断することになりますが、テレワーク時の自宅と本社等間の移動については、従業員等の労務の提供地によって判断が異なります。

ここでの労務の提供地は、労働契約(労働契約で明確になっていない場合はその他勤務地を定める書類など)における場所で判断することになります。

労務の提供地を「自宅」とした場合

労務の提供地を「自宅」とした場合は、

・旅費規程等に基づき実費精算していること

・別途通勤手当(定期代など)の支給を受けていないこと

上記を満たせば、「勤務する場所(自宅)を離れてその職務を遂行するための旅行」に該当することになります。

例えば、従業員Yの労務の提供地が「自宅」で、1か月分の交通費が往復3万円×8回出社した場合、1か月分の交通費24万円を、旅費規程に基づき実費精算しており、別途、通勤手当の支給を受けていない場合は、「勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行」に該当します。したがって、1か月分の交通費24万円の全額が出張旅費として給与課税されないこととなります。

おわりに

仮に、労働契約上の労務の提供地が本社等であっても、実態は「自宅」が労務の提供地と言える理由があり、支給方法や金額が旅費規程に基づく支給と変わらない場合は、例外的に「勤務する場所を離れてその職務を遂行するための旅行」に該当するものとして扱ってもよいケースもあるので所轄の税務署等に確認してみてください。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。

各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。

依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。

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テレワーク 2

 

 

会計監査人の異動 2022年10月は8社!7社が監査報酬値上げを理由に!

カテゴリ: 監査 公開日:2022年11月06日(日)

はじめに

「会社の規模に適した監査対応と監査費用の相当性」などの理由の下、要するに監査報酬の値上げを理由に会計監査人の交代が相次いでいます。

10月は8社中7社が若干異動理由の表現に違いがありますが、『監査工数の増加及び単価上昇による監査報酬増額の申し出を受けたことを踏まえ』て、会計監査人の異動を公表しています。

この流れはいつまで続くのでしょうか。

また、特記すべき事項として、7社中3社は某準大手監査法人が就任している点です。大手から中小への大きなトレンドの中、某準大手監査法人がかなりアグレッシブに大手監査法人から会計監査人の交代を成し遂げています。

それでは、その某準大手監査法人とは?

また、個別の異動理由についても数社を例に挙げて検証してみます

10月の会計監査人の異動および異動理由の個別内容、更に某準大手監査法人とは?

10月最初のIR公表会社

株式会社メディア工房/東証グロース(3815)

IR公表日 :2022/10/07

異動年月日:2022/11/25

退任監査人: 有限責任あずさ監査法人

就任監査人: 太陽有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の現会計監査人である有限責任あずさ監査法人は、20221125日開催予定の第25回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。~中略~、監査業界を取り巻く環境が大きく変化する中、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について意見が相違しましたため、他の監査法人と比較検討を行った結果、監査実績等が当社の事業規模に適していること、~以下省略~

いきなり、某準大手監査法人の名が飛び出してきました!そうです、準大手監査法人の中でもトップのクライアント数を誇る太陽有限責任監査法人さんです。

そして、もう一つ太陽さんへの異動会社のIRをご紹介しましょう。

株式会社プラップジャパン/東証スタンダード(2449)

IR公表日 :2022/10/20

異動年月日:2022/11/29

退任監査人: 有限責任あずさ監査法人

就任監査人: 太陽有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任あずさ監査法人は、20221129日開催予定の第52回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。~中略~監査継続年数が22年と長期にわたっていることや、当社の事業規模に見合った監査対応と監査費用の相当性を総合的に検討した結果、~中略~当社の事業規模に適した新たな視点での監査が期待できることから、~以下省略~

もう1社もあずさ監査法人から太陽さんへの異動です。

太陽さんはあずさ監査法人を狙い撃ちしているのでしょうか?たまたまなのかもしれませんが、1か月に3社も同じ監査法人間の異動というのは偶然としてもかなりレアなケースと言えるのではないでしょうか。

その他の中小監査事務所への会計監査人の異動理由等

では、太陽さん以外の中小への会計監査人の異動についても取り上げてみましょう。

株式会社デザインワン・ジャパン/東証スタンダード(6048)

IR公表日 :2022/10/24

異動年月日:2022/11/29

退任監査人: 有限責任監査法人トーマツ

就任監査人: 監査法人Bloom

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツは、20221129日開催予定の第17回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。同会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われていることを確保する体制を十分に備えているものと考えておりますが、当社の事業状況および監査環境の変化等により監査工数及び監査報酬が増加傾向にあることを踏まえ、当社の事業状況に適した監査費用と監査対応の相当性等について他の監査法人と比較検討した結果、監査法人Bloom を新たに会計監査人の候補者として選任することといたしました。~以下省略~

上記のように、いずれの会社も監査報酬の増加傾向が続いていることを異動理由に挙げています。

おわりに

公認会計士業界の人手不足は深刻です。そのような中、大手監査法人が監査報酬の値上げに踏み切り、実質的に監査報酬が低く、採算の合わない被監査会社を切り捨てるような行動に出ているようにも感じます。

監査報酬の値上げに耐えられない会社の会計監査人の受け皿としては中小監査事務所が中心となっているのが現状のトレンドです。その中で目立っているのが準大手監査法人の代表でもある太陽有限責任監査法人の積極的な監査受嘱です。太陽さんは公認会計士不足による人的資源の不足にどう対応されているのか不思議でなりません。

今年だけでも当事務所の集計では37社の会社の会計監査人として、大手からクライアントを引き受けています。異動理由を見ても、太陽さんへ交代した会社の監査報酬は「事業規模に見合った監査対応と監査費用」との文言が目立ちます。ということは監査報酬を値上げせず監査人の異動を引き受けていることになります。

今後も太陽さんへの会計監査人の異動はまだ続くのでしょうか?

中小監査事務所は受け皿としてどれだけ成長しているのでしょうか?

今年も2か月、会計監査人の異動の状況に注目していきたいと思っています。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。

各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。

依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。

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 値上げ

建設業を例にしたインボイス制度への対応策(申請期限令和5年3月末)

カテゴリ: 税務 公開日:2022年10月27日(木)

はじめに

インボイス制度とは、令和5年10月より導入される適格請求書等保存方式のことであり、令和3年10月1日の登録申請書の受付開始から1年が経過しました。

また、令和4年度税制改正によりインボイス制度の一部見直しが行われています。

インボイス制度の具体的なイメージをしやすくするため、業種を建設業と仮定し、想定される課題および実務に即した対応策について記載します。

免税事業者に関係する令和4年度税制改正の概要

(1)免税事業者の登録に関する経過措置の見直し

経過措置により、免税事業者が課税期間の中途である登録日から適格請求書発行事業者となることが可能となり、「登録申請書」の提出のみで登録手続きが完了し「課税事業者選択届出書」の提出は不要となっています。

改正前は令和5年10月1日の属する課税期間以外では、この経過措置が適用されませんでしたが、改正により、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間まで、経過措置の適用される期間が拡大されています。

(2)免税事業者を選択することの制限(2年縛り)の取り扱い

免税事業者が「課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となった場合、2年間は免税事業者となることができません。ただし、改正前のインボイス制度では、上記(1)の経過措置を適用して免税事業者が課税事業者となった場合には「課税事業者選択届出書」の提出が不要であることから、この2年縛りの対象外となっていました。

しかし、今回の改正により、令和5年10月1日の属する課税期間に登録を受けた場合は2年縛りの対象外となるものの、それ以外の課税期間に登録を受けた場合は2年縛りの対象となります。実務上、非常にミスが起きやすい事案になるかと思いますのでご注意ください。

建設業の課税事業者における実務上想定される今後の課題と対応策

建設業を営んでいる課税事業者の場合、下請業者にはいわゆるひとり親方が多く、その多くが免税事業者であるケースが想定されます。したがって、下請業者が適格請求書発行事業者の登録をせず免税事業者のままだった場合、当該建設業者は仕入れ税額控除ができなくなるため、消費税負担が増加し、業績への影響も大きくなることが考えられます。

このような場合、当該建設業者は下請業者に対してどのような対応をすべきでしょうか。

(1)配布用チラシによる下請け業者へのインボイス制度周知と免税事業者の把握

まず、インボイス制度を下請業者に認識してもらい、かつ下請業者の中に免税事業者がどの程度いるのかを把握することが対応の第一歩となります。

(2)下請業者と交渉する際の留意点

下請業者へのインボイス制度の登録事業者となるよう要請したり、再交渉において双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられても、独占禁止法や下請法で問題とはなりません。

ただ、当事者の一方が優越的地位にあり、その地位を利用して、登録しなければ取引を行わない、あるいは取引価格を引き下げる、また交渉する場合も形式的なものにとどめる、といった場合は、独占禁止法上問題となる恐れがあります。また、課税事業者となることを了承した下請業者に対し、消費税分の価格転嫁をせず、据え置くように通告する場合も同様です。下請業者との交渉の際は、十分に協議を行い、双方納得する条件を設定することが重要となります。

(3)簡易課税制度の有効活用

下請業者が登録事業者になることを拒絶する理由は多いことでしょう。インボイス制度のデメリットのみを判断材料とし、下請業者との取引を中止するという選択は現実的には難しいと考えられます。建設業界は慢性的な人材不足の状況であり、加えて技術のある下請業者の代わりがなかなか見つからない場合、建設現場に影響を及ぼす可能性もあります。

そのような場合、当該建設会社が簡易課税制度を適用することも検討すると良いでしょう。基準期間の課税売上高が5,000万円以下という条件がありますのでどの会社でも適用できるわけではありませんが、貴方の会社の課税売上高のみで消費税を計算する簡易課税制度は、下請業者に免税事業者多いケースでは有効だと考えられます。

さらに、下請業社にもこうした簡易課税の趣旨、内容を理解してもらえば、登録事業者となるインセンティブが働くことも考えられます。

(4)免税事業者からの請求書に消費税額を記載する際の留意点

免税事業者からの請求書について、令和5年10月1日以降の取引においても消費税額の請求を禁止する規定はありません。ただし、適格請求書発行事業者であると誤解を招かないように消費税額ではなく消費税相当額として記載してもらうか、請求金額を税額別記とせず、税込みの金額により記載してもらうといった対応が提案されているようです。

(5)当事者である建設会社内部への制度の周知

経営者が制度を理解していても、従業員の理解が不十分な場合には、適格請求書発行事業者登録を行ってもらえない事業者と新規に取引を開始し、結果、仕入税額控除を受けられないという事態になる可能性があります。そのようなトラブルを回避するためにも、研修会等に参加するなど従業員への制度周知が重要となります。

おわりに

インボイス制度の登録申請書の提出期限は、原則として、令和5年3月31日ですので、対応を焦る必要はないと考えている方も多いかもしれません。

しかし、上記に記載した実務上の課題と対応策イメージすると、建設業以外の業種も含め検討すべき対応策は多岐にわたります。インボイス制度を理解し、適切なタイミングで登録申請等の対応ができるよう、上記の内容を半年後の提出期限に備えるための参考にしてください。

以上

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 インボイス制度 2

個人事業者の青色申告の65万円控除と電子帳簿保存の届出書

カテゴリ: 税務 公開日:2022年10月24日(月)

はじめに

そろそろ来年の確定申告に向けての準備を始めてもよいのではないでしょうか。

とろこで、青色申告を行う個人事業者が青色申告特別控除の「65万円控除」を適用するには

   E-Taxで所得税の確定申告書及び青色申告決算書の電子データを提出する

   仕訳帳及び総勘定元帳を優良な電子帳簿として備え付け、保存する

または②の要件を満たさない場合、控除額は最高55万円となります。このことについては、令和3年も同じであり過去に申告した個人事業者の方もよくご存じなのではないでしょうか。

令和4年分の所得税から注意したい届出書

令和4年分の所得税から上記要件②により65万円控除の適用を受ける場合、その確定申告期限である令和5年3月15日までに、所轄税務署長に「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」の提出が必要となります。

要件②でいうところの「優良な電子帳簿」とは、

「優良な電子帳簿」とは、訂正等の履歴が残ることなど一定の要件を満たす電子帳簿の子をいう(電帳規5⑤)。

65万円控除の適用では、原則1月1日より”仕訳帳“と”総勘定元帳“を優良な電子帳簿として備え付け、保存すればよいことになります。

一方、同様に優良な電子帳簿が関係する「優良な電子帳簿の過少申告加算税の特例」(電帳法8④=過少申告加算税を5%軽減)では、その適用を受ける税目に係る“すべての帳簿”を優良な電子帳簿として備え付け、保存する必要があります。

おわりに

要件②に係る65万円控除等の届出書は、個人事業者が65万円控除に加え「優良な電子帳簿の過少申告加算税の特例」を適用する際にも利用できます。

同特例の「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」をすでに提出している場合、65万円控除等の届出書の提出は不要となりますので参考まで。

以上

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 書類のデジタル化

全国旅行支援 出張時に利用した場合の法人・個人課税関係について

カテゴリ: 税務 公開日:2022年10月21日(金)

はじめに

全国を対象とする観光需要喚起策「全国旅行支援」が10月11日(東京都は10月20日)に始まっています。各都道府県が実施するキャンペーンに対し、国が全国一律の支援水準で旅行代金等の補助を行うもの。

法人の従業員等が出張等で利用して会社との間で精算した場合、その課税仕入れの額は割引前の税込額となります。個人の場合は一時所得となります。

全国旅行支援の内容

具体的に1泊1人当たりの割引上限は、交通付き旅行商品8,000円、それ以外5,000円。

クーポン券(平日3,000円、休日=土曜宿泊1,000円)も付与されます。

交通付き旅行商品を平日利用した場合、1人1泊当たり最大11,000円が補助されます。

法人の従業員等が出張で利用できるケースも考えられ、課税関係を判断する上では、利用時に各都道府県のキャンペーン内容を一応確認しておく必要があります。

国が補助する両行代金の割引額やクーポン券などの支給形態については、割引上限額の上乗せ等による個別の判断を必要としない限り、基本的には昨年のGo To トラベルと変わりません。

官公庁によると、利用者が直接割引額を受け取らず、旅行業者等が利用者に代わって国から補助額を受ける仕組みで、補助上限額も決まっているので注意が必要です。

また、旅行代金自体が割引されているものではありません。

具体的な課税仕入れの額は割引前の税込額

個人の場合キャンペーン対象となる旅行商品を購入した場合、国から補助される旅行代金の割引額及びクーポン券の額は原則一時所得となります。収益計上時期は、割引相当額については旅行代金割引相当額の充当後の額の支払い完了時となり、クーポン券については使用時となります。

法人の従業員等が出張等で交通付き旅行商品(8,000円)の対象となる商品20,000円(税込)を購入した場合、旅行業者等が旅行商品の対価の額を割引しているわけではないことから、会社が計上する課税仕入れの額については、割引後の税込12,000円ではなく、割引前の税込20,000円となります(消費税法30)。

従業員等との間の経費精算については、割引額を含めた20,000円で精算することが考えられますが、割引額を含めない12,000円で精算した場合には、不課税取引として、8,000円を雑収入等で計上することとなります。

おわりに(割引前の金額で出張旅費を精算した場合の従業員の課税)

従業員等が出張のためにキャンペーン対象の両行商品を購入し、後日、会社との間で精算した場合の旅費交通費等の扱いについては、一般的な社内の出張旅費規程に基づいて判断することとなります。所得税法上、一定の旅費として非課税となる範囲は、「給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの」(所得税法9①四)とされています。

そのため、具体例の割引額が充当された旅行商品の金額税込20,000円で精算しても、社内の出張旅費規程に基づき「通常必要であると認められる」範囲であれば源泉徴収は必要ありません。

参照ブログ)監査法人より個人の公認会計士事務所を選任すべき会社等とは

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

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全国旅行支援

第2四半期は監査人の『中間監査またはレビューが必要』との意見が7割

カテゴリ: 監査 公開日:2022年10月21日(金)

はじめに

第1・第3四半期開示の廃止や四半期報告書を廃止し、四半期短信のみの開示への検討が金融庁において進められていますが、日本証券アナリスト協会は10月7日「四半期開示の見直しに関するアンケート」の集計結果を公表しました。

金融庁のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)で四半期開示の一本化に向けての関東課題とされていた論点に関する事項を調査しているようです。

例えば、第1・第3四半期決算短信について、66%が「全上場企業に開示を義務付けて欲しい」との回答がありました。

また、第2四半期について、「監査人による中間監査またはレビューが必要」という回答は73%の多数を占めています。

アナリスト側の考え方と企業側の考え方にはかなり相違があるようです。

第1・第3四半期決算短信に関するアンケート

今回のアンケートは、アナリスト協会のディスクロージャー研究会と企業会計研究会の委員そして国際会計人材ネットワークのアナリスト協会登録者の計176人を対象に実施されました。

DWGで金融商品取引法上の四半期開示義務の第1・第3四半期決算短信等を廃止し、四半期決算短信への一本化を進める上での課題とされていた論点に関して調査しています。

具体的な論点は以下4点

1.第1・第3四半期決算短信の開示を義務付ける企業の範囲

DWGでは、第1・第3四半期決算短信も任意化すべきとの意見もありましたが、今回の調査結果では「全上場企業に開示を義務付けて欲しい」が66%となりました。

2.第1・第3四半期決算短信の情報開示の水準と追加的に必要な情報

現行の第1・第3四半期決算短信よりも多い情報の開示を求める回答が49%、現状の水準で問題ないとする回答が46%と拮抗。

また、「キャッシュ・フロー計算書」「財務諸表の注記」「財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況の分析」が追加的に必要な情報の上位にあがっています。

これらの情報は、現行の第2四半期報告書の記載項目であり、アナリスト協会では、より詳細な情報の開示を求めているようです。

3.第1・第3四半期決算短信の信頼性と法令上のエンフォースメントの確保

これについては、56%が速報性を重視するため、監査人によるレビューや臨時報告書による開示は不要との回答結果です。

一方、監査人によるレビューが「必要」も44%と一定程度のニーズはあるようです。

後者の回答では、「数字の信ぴょう性に最低限の担保は必要」との声があります。

4.第2四半期の開示方法と監査人による保証・臨時報告書としての開示

「監査人による中間監査またはレビューが必要」が73%と多数を占めています。

また、「半期報告書の開示または臨時報告書としての開示は必要」も53%を占め、金商法上のエンフォースメントの確保は必要という回答が半数を超えています。

おわりに

上記、3の論点では四半期開示の速報性を重視し、監査人によるレビューなどは不要が過半数、上記4の論点では、第2四半期については監査人による中間監査またはレビューが必要が多数を占めるなど、速報性と信ぴょう性の相矛盾する目的に対して意見が真っ二つに分かれている現状が読み取れます。

さてどのような結論に収まるのか!今後の議論の行方を見るしかありませんが、速報性を重視して監査人の保証等をなくし、その後「不正会計」が散見されてから、監査人の保証等がやはり必要となるような無駄な時間を費やさないような結論となることを祈っています。

※上場会社以外の会計監査は個人の公認会計士事務所による監査がベストです!

参照ブログ)個人の公認会計士事務所による監査はメリットだらけ!

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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金融庁報告書