コロナ禍における学校法人の会計処理(支出)

東証②

はじめに

沖縄を除く7都道府県の緊急事態宣言の解除が決まりそうです。大阪では、夜7時まで酒類の提供を認める「まん延防止措置」を適用するとのことです。夜7時までは厳しいですね。夕方5時にはお店に入らないとお酒をゆったり飲めそうにありません。私はお酒が好きな方なので((笑))、仕事が早く終わりそうな時に、古い友人を誘って個室のある居酒屋に行きたいな~と待ち望んでいます。

では、本題に入ります。

今回は支出について箇条書きに事例と会計処理を記載します。ご参考まで!

1.オンライン環境の整備のための一律支援

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、家庭でオンライン授業を受けるための環境の整備を目的として、学校法人が「オンライン授業の実施に伴う特別奨学金」「自宅学修支援金」等、学生生徒等に対して一律の支援を行う際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

学生生徒等に対して一律支援を行った場合には、学校法人委員会報告第30号「授業料等の減免に関する会計処理及び監査上の取扱いについて」(昭和58年3月28日)に記載のとおり、大科目「教育研 究経費(支出)」の中の小科目「奨学費(支出)」等に計上することが適当である。 なお、支援額が相当多額になる場合には、内容を「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」として注記することや適当な小科目を追加することも考えられます。 また、学校側の環境整備を実施した場合等は奨学費には該当せず、奨学費以外の教育研究経費 (あるいは固定資産)として処理することに留意されたい。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

2.家計の急変、アルバイト収入の減少により経済的に困窮する学生への支援

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴う家計の急変、アルバイト収入の減少により経済的に困窮する学生生徒等に対して、学校法人が「緊急支援金」「修学支援奨学金」等の名目によって支援を行う際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、経済的に困窮する学生生徒等への支援を行った場合 には、大科目「教育研究経費(支出)」の中の小科目「奨学費(支出)」等に計上することが適当である。 なお、支援額が相当多額になる場合には、「1.オンライン環境の整備のための一律支援」を参照ください。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

3.学費の減免

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学費の減免を行う際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学費の減免を行った場合には、大科目「教育研究経費 (支出)」の中の小科目「奨学費(支出)」等に計上することが適当である。 なお、減免額が相当多額になる場合には、「1.オンライン環境の整備のための一律支援」を参照ください。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

4.学費等の返還

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学費の返還を行う際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学費(授業料、実験実習料他)の返還を行った場合に は、基本的に学費の減免と同様の性格を有すると考えられることから、大科目「教育研究経費(支出)」 の中の小科目「奨学費(支出)」等に計上することが適当である。 なお、日割で徴収する学費(無償化対象外の者の基本保育料等)のうち教育の役務提供ができなかった日数分を返還する類いのものは、次の5(給食代等実費程度徴収額の返還) の会計処理 が考えられます。 また、減免額が相当多額になる場合には、「1.オンライン環境の整備のための一律支援」を参照ください。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

5.給食代等実費程度徴収額の返還

【事例】

給食代等、実費程度の徴収額を補助活動収入として計上していた場合に、新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、休校期間に対応する給食代等を返還する際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

給食代等、実費程度の徴収額を補助活動収入として計上している場合、休校期間に対応する給食代等については、基本的に役務の提供を行っていないものと考えられることから、実費程度の徴収額からこれに対する返還額を差し引いた実際の役務提供に対応する金額のみを補助活動収入として処理することが適当である。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

6.学生生徒等への見舞金

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学校法人が学生生徒等へ、自宅学習に資することを目的として図書カード等を見舞金として支給する事例があるが、その際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学校法人が学生生徒等へ例えば図書カードを支給する等、学生生徒等の自宅学習に資することを目的として見舞金を支給した場合には、大科目「教育研究 経費(支出)」の中の小科目「奨学費(支出)」や「福利費(支出)」等に計上することが考えられるが、見舞金の性質に応じた適切な科目を用いることが適当であることに留意されたい。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

7.幼児教育無償化分(25,700円)を超えた分の自己負担の免除

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、令和元年10 月1 日から始まった幼児教育無償化制度における無償化分を除く学費負担分について、学費の減免を行う際の会計処理はどうなるか。

【会計処理】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、学費の減免を行った場合には、大科目「教育研究経費 (支出)」の中の小科目「奨学費(支出)」等に計上することが適当である。 なお、日割で徴収する学費(無償化対象外の者の基本保育料等)のうち教育の役務提供ができなかった日数分を返還する類いのものは、5 (給食代等実費程度徴収額の返還)の会計処理が考えられます。また、減免額が相当多額になる場合には、「1.オンライン環境の整備のための一律支援」を参照ください。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

8.金銭にかかる支援以外の支援

【事例】

新型コロナウイルス感染症の発生等に伴い、家庭でオンライン授業を受けるための環境の整備を目的として、学校法人がノートパソコンやタブレット、モバイルWi-Fi等を購入し、これを学生生徒等へ貸与する際のノートパソコン等を少額重要資産として取り扱うことの是非について。

【会計処理】

少額重要資産については、学校法人委員会研究報告第20号「固定資産に関するQ&A」(平成22年6 月9日)に記載のとおり、第一に学校法人の性質上基本的に重要な資産であるかどうか、第二に常時相当多額(多量)に保有することが目的遂行上必要とされる資産であるかどうかを基準に判断ください。 なお、少額重要資産については、経理規程等に具体的な内容を明記することが望ましくなります。 ただし、知事所轄法人については、所轄庁の指示がある場合にはその指示により処理することに留意ください。

おわりに

以上、今回のブログでは支出について事例ごとにみてきましたが、支出についてはほとんどが、大科目「教育研究経費 (支出)」の中の小科目「奨学費(支出)」等に計上することとなります。

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

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